たそがれの日本IBM、56年ぶり外国人社長
日本IBMが新たな一歩を踏み出した。5月15日付で橋本孝之社長が代表権のない会長に退き、米IBMから派遣されたマーティン・イェッター氏が社長に就く。外国人の起用は56年ぶりだ。
イェッター氏は2006年から4年間、独IBMの社長としてクラウド事業の強化や事業所の再編で功績を挙げた。現在は米本社の経営戦略の立案を担当する役員を務め、バージニア・ロメッティCEОとのパイプは太い。
栄光は過去のものに
かつての日本IBMは、数ある現地法人の中でも売上高で1割以上を占め、研究開発で世界に先行する“孝行息子”。米本社からの信頼は厚く、半世紀以上も日本人トップが経営に当たっており、外資系というより純粋な日本企業に近かった。
人材育成にも定評があった。日本ヒューレット・パッカードの小出伸一社長、ベルリッツコーポレーションの内永ゆか子社長など多くの人材を輩出している。「日本のIT企業は、日本IBMを目標として背中を追いかけてきた」(大手IT企業幹部)。
だが、輝きは失われつつある。ピークの01年に1兆7075億円あった売上高は05年のパソコン部門売却などの影響もあり、10年は9377億円まで縮んだ。