企業タイアップ型O2Oで新市場を拓いた「ケータイ国盗り合戦」《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
「昨年夏以降、持ち直しつつあるものの、依然として全国の観光地はいずれも深刻な打撃を受けていた。震災後の経済の再生を目的とする観光振興策の1つとして、JRグループ6社は社団法人日本観光振興協会、各地の広域観光団体等と協力し、全国縦断型のスタンプラリーキャンペーン『源平見参!!冬の陣』を実施することになった。対象スポットに各地の観光施設を含めるなど、これまで以上に旅の楽しさを提供できる内容となった」と保田氏は言う。
「全国制覇」を達成する人は年々増加している。夏の陣での達成者は、06年の1回目は3人、翌年の2回目は18人だったが、11年は289人にまで増えた。
ゲームは年々複雑になり、難易度が上がっている。ユーザーの熱狂ぶりも上がっているという。
ユーザーの声を企画に反映させる
マピオンの加藤隆志・事業開発部部長は、企業タイアップ型O2Oビジネスの成功の秘訣を次のように語る。
「ケータイ国盗り合戦のビジネスモデルは、『O2O手法にのっとった広告』。リアルの場所にお客さんを送るための、『オリジナルのゲーム』をクライアント企業向けに毎回作る。クライアントからは初期費用をいただいている。広告のビジネスモデルとしては、BtoBだが、サービス全体のビジネスモデルとしては、BtoBtoC。toCの部分としては、ゲーム内で発生する課金がある」
さらに「O2Oといってもいろいろある。われわれの目指すO2Oの土台にあるものは『ファンコマース』。とにかくユーザーが楽しくて満足しないと、結果としてクライアントが満足することはありえない。ユーザーの気持ちを伝えることに営業部隊は心を砕いている。たとえば、訪問対象のスポット数を増やしたいという要望のクライアントは多いが、ユーザーの気持ちを丁寧に説明して、より多くのユーザーがゲームに楽しく参加できる最適なスポット数を提案するなどしている。ユーザー、クライアント企業の双方がWin−Winの関係となるような形を目指す」と加藤氏は言葉をつないだ。
クライアントの要望とユーザーが面白いと思うところを丁寧に落とし込んで企画を練る。事業開発部の組織は、営業企画グループ、メディアグループ、開発グループの25人。企画会議は全員参加で行う。
企業からの提案や問い合わせが多く、自ら新規開拓するような営業はできていないのが現状。ユーザーの心に響く企画を最も重視しているため、断らざるをえないことも多い。
マピオンの運営スタッフは、なぜユーザー心理に詳しくなったのか。