企業タイアップ型O2Oで新市場を拓いた「ケータイ国盗り合戦」《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
地図検索サイトを手掛けるマピオン(本社・東京都)は、自社が運営する携帯位置情報ゲーム「ケータイ国盗り合戦」で、JRや日本航空、NTTドコモなど大手企業とのタイアップキャンペーンを実施、O2O(オンライン・ツー・オフライン)ビジネスで成功を収めている。
「ケータイ国盗り合戦」は、携帯電話の位置情報機能を利用したゲームだ。ユーザーが戦国武将になりきり、日本全国を制覇する。戦国時代を舞台に全国600エリア(国)を制覇するスタンプラリーや、城下町の育成ゲーム、チャンバラのカードバトルゲームなどの各種ゲームがある。
ネットだけで完結するゲームとは大きく異なり、リアルに場所の移動が必要な点が最大の特徴だ。これぞまさにO2O、だ。
現在、同ゲームの会員数は約103万人。約8割が社会人で、都心に住む30代サラリーマンが約半数を占める。全国津々浦々を巡るため、出張や仕事の外出の機会を利用して楽しむようだ。比較的おカネに余裕のあるサラリーマンが多いという。男女比は6対4、歴史や旅行が好きな女性にも人気がある。
例年、夏季に実施している全国キャンペーン企画「夏の陣」。これまではJR東日本等と行ってきた。2011年は初めてJRグループ6社とタイアップし、「2011夏の陣~琥珀城と100の密書~」と銘打って、8月から10月半ばまで実施。参加者数約18万人、経済効果約60億円(参加者が費やした交通費・食費・お土産代をマピオンが試算)という大きな成果を上げた。
日本全国の100カ所に配置された攻略スポットをすべて巡り「全国制覇」を成し遂げたユーザーは、289人。最速記録は、263時間(約11日)だった。100カ所を巡るには、宿泊費など含めると平均で約50万円かかる、という。
夏の陣での成功を受け、11年12月から12年3月まで、「源平見参!!冬の陣」と初めて冬季での全国キャンペーンにも乗り出した。
JR東日本営業部の保田暢彦氏は、次のように話す。
「東日本大震災後、東北への観光需要が低迷している中、JRグループでは『観光の力で、日本を明るくしたい』という思いがあった。ゲームをきっかけに多くの皆様に、東北をはじめ日本全国へおでかけいただくことで復興・応援につなげていきたいと考えた」
夏の参加者数約18万人のうち、東北を訪れた旅行客は約2万3000人。そのうち84%が東北のエリア外からの旅行客であり、東北支援に貢献した。
夏はまだいい。旅行需要が少ない冬で、全国規模のキャンペーンを実施することはマピオンにとって初めての試みだった。