3カ月連続で前年割れ…なぜか住宅着工戸数が減り続けている背景事情

新設住宅着工戸数が今年4月から3カ月連続で前年割れとなり、4〜6月の実績は前年同期比25.6%減となった。その要因は、今年4月に新築住宅の技術基準が変更され、全ての新築住宅に省エネ基準適合の義務化と小規模木造住宅の構造基準の見直しが実施されたからである。
国土交通省では、今回の技術基準の変更はおおむね順調に施行されており、住宅着工の落ち込みは一過性と見ている。しかし、住宅価格が高騰し、建設技能者の人手不足が深刻化するなか、今回の基準変更が住宅価格を一段と押し上げ、新築需要を冷やすとの見方もある。
過去に技術基準の変更で住宅着工が大きく落ち込んだ前例として、2005年に発覚した耐震強度データ偽装事件(通称・姉歯事件)に対処して2007年6月に施行された建築基準法改正があった。
この時は7月から住宅着工の前年割れが1年続き、2007年度は前期比19.4%減となり、“官製不況”と言われる事態となった。果たして、今回の混乱はいつ収束し、住宅着工は回復するだろうか。
大量の駆け込み申請が発生
住宅などの建築物を建てるときには「建築基準法」で定められた技術基準に適合することが義務付けられている。その基準に適合するかどうかを審査するのが建築確認検査業務である。
以前は特定行政庁(地方自治体の建築主事)だけで行われていたが、1999年に民間にも開放され、今では大半の建築確認業務は日本ERIなどの確認検査機関で実施されている。住宅着工統計の数字は、建築確認の許可が下りた住宅の戸数を集計したもので、新築需要の先行きを示す指標となる。
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