3カ月連続で前年割れ…なぜか住宅着工戸数が減り続けている背景事情
建築業界では、大工などの技能者だけでなく、建築士や現場監督などの技術者も不足しており、建築確認や省エネ計算、小規模木造住宅の構造計算などの技術者を確保するのも厳しい状況にある。今回の技術基準変更に現場の技術者が慣れてきて対処できるようになれば、混乱が半年程度で収束する可能性もある。問題は、大きく落ち込んだ住宅着工がどこまで回復するかである。
住宅着工戸数はこれまでどう変化してきたか
住宅着工戸数の推移を見ると、需要に大きなインパクトのある事象が発生したタイミングで、住宅着工の数字が大きく変動してきた。阪神・淡路大震災の翌年の1996年度は前期比9.8%増と高い伸びとなったが、北海道拓殖銀行、山一證券が経営破綻した1997年度は消費税率の引き上げもあって17.7%減と大きく落ち込んだ。

注目すべきは、1996年度まで住宅着工戸数は年160万戸前後という一定のレベルで推移していたが、1997年度を境に年120万戸レベルへと落ち込み、その後はかつての160万戸レベルを回復することはなく、120万戸レベルが10年間続いたということだ。
次に大きく変動したのが、2007年の改正建築基準法施行の時だった。2007年度の住宅着工戸数は103.5万戸と前年度に比べて2割近く落ち込み、2008年度も103.9万戸と2007年度並みにとどまった。さらに2008年9月にはリーマン・ショックが発生し、その影響で2009年度は前期比25.4%減の77.5万戸を記録した。
その後、2011年の東日本大震災で復興需要が発生し、2013年には安倍政権による異次元金融緩和政策がスタート。2016年のマイナス金利政策で住宅ローン金利が一段と低下したこともあり、2024年度までの15年間、年80万戸を上回るレベルで推移してきた。
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