3カ月連続で前年割れ…なぜか住宅着工戸数が減り続けている背景事情

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技術基準が変更された時、端的に影響が現れるのが確認検査機関である。建築士などの国家資格を持つ技術者が、基準変更を正しく反映した設計図書を作成して確認検査機関に申請すれば、問題ないように思うかもしれない。

しかし、実際はそうではない。姉歯事件の前までは、国家資格者を信用した“善意”に基づいた建築確認が行われていたが、事件を機に審査が一気に厳しくなった。審査段階で設計の不備が見つかれば何度も修正が行われ、建築確認の許可が下りるまでに1か月以上の時間を要する場合もある。

2007年の建築基準法改正の時も、確認検査機関から影響を懸念する声が上がっていた。日常の確認検査業務を通じて現場レベルの対応状況を実感できる立場にいるからだ。「法改正の周知期間が短く、中小ビルダーや工務店が対応できるようになるには時間がかかる」と訴えていた。

筆者はそうした声を国交省幹部に伝え、「法施行を延期すべきではないか」と質したが、予定通りに実施された。結果は、法施行直前の6月に前期比6.0%増と若干の駆け込み需要が生じたあと、7月は23.4%減、8月は43.3%減、9月は44.0%減と3か月連続で大幅減となった。

今回は3月に39.6%増という大量の駆け込み申請が発生したあと、4月は26.6%減、5月は34.4%減、6月は15.6%減と似たような経過をたどっている。2007年の時は12か月間、前年割れの状況が続いたが、今回はどうなるだろうか。

省エネ計算を行わなければならない建物が10倍以上に

国交省では、2007年の二の舞を避けるために周知期間を長く設け、技術講習を充実させるなどの対策を講じてきた。しかし、確認検査機関に聞くと、4カ月を経過した現在も審査に時間がかかり業務が滞る事態が続いている。住宅事業者にとっても建築確認の許可が下りなければ正式な請負契約を結べないので、少しでも早く審査してもらえる確認検査機関を探し回るなど混乱が続いている。

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