「検索してはいけない」「怖い」不穏なワードと共に検索される謎の“遊園地” 崖っぷち経営の《自虐イズム》に隠された、実は真面目な生存戦略

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「番組放送直後(2020年9月放送)の一年間は、放送をご覧になられたお客様が多くいらっしゃいました。特に秋の行楽シーズンの11月のデータで見てみますと、例年約7000名前後だったのがこの年は約1万1000名と、すごかったですね」

前年比約1.6倍とは絶大な影響力である。それ以降は、インターネット記事をはじめ、インフルエンサーやYouTuberの発信の影響で、来園者がいるという。

「最近では仲里依紗さんの番組を観てご来園される方も多いです。他にも、メルヘン村をVR空間で再現いただいたクリエイターさんもいらっしゃって。その方のVR作品を見て、本物のメルヘン村を見たいと関東や北海道など全国各地からわざわざ佐賀までお越しいただいたり」

ネットのバズのいい効果が出た、お手本のような例だ。

一方で筆者のように物心ついた頃からメルヘン村に親しんできた立場としては、悲哀の混じったPRに情緒が乱されそうになる気もするが、いずれにせよ公式SNSが投下した小さな遊び心は、全国放送をきっかけにメルヘン村の新たなブランドとなった。

それに対し「よしきた」と思い切り舵を切ったのが境田さんたちだ。

カオスに振り切ったSNS運営

テレビ出演後、メルヘン村の公式Xは水を得た魚のようにどんどん自由に、さらにカオスになっていく。

平日は園内に客が少なく、その誰もいない様子を撮影した写真に「疎です」などの言葉を添えてSNSに投稿。

人がいない園内
(メルヘン村公式Xよりスクリーンショット)

すると、フォロワーから「疎を体験しに行く」などのリアクションが寄せられる。それに対して、「年内だと疎じゃなくて廃になってるかもちれないよ。だから今すぐ会いに来てホシイナ」などの独特の口調で返答を畳みかける。

ユーモアあふれる投稿や打ち返しが面白く、フォロワーもそれを期待している節がある。

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