「検索してはいけない」「怖い」不穏なワードと共に検索される謎の“遊園地” 崖っぷち経営の《自虐イズム》に隠された、実は真面目な生存戦略
「いろいろなバズらせ方ってあると思うんですけれど、楽しんでいただけることを第一に心掛けています」と境田さん。
こうしたSNS運営の背景には、忍者村で培った精神があるのだという。
「実は、私はもともと忍者村のSNSの大ファンだったんです。はっきりとは覚えていませんが、2010年とか割と早い段階で、忍者村では施設の老朽化や来園者数の少なさを笑いに昇華した発信をしていたんです。いまのメルヘン村での発信も、『夢街道イズム』といいますか、そんな美学がベースになっていると思います」
“親”から“子”へ受け継がれている、お客さんファーストなDNAを感じるからこそ、カオスな中にも味わいが感じられるのかもしれない。
こうしたSNS運営は園全体の方針なのだろうか?
「SNS運営はこの方針でOKが出ています(笑)。ただ、最も大切なことはメルヘン村現地でお客様にお楽しみいただくことなので、『それを心がけてSNS運営しないと一過性で終わってしまうぞ』と、支配人からいつも口を酸っぱくして言われています(汗)」
トイレ事情もエンタメに昇華
先ほど、テレビ出演時の自虐CMでぼっとん便所の現状が取り上げられたと書いたが、実はそれ以降、メルヘン村のトイレ事情に新たな変化が起きていた。
2020年にテレビに出た当時は「ぼっとん便所を水洗トイレ」にすることが当面の悲願だったが、2023年に水洗式トイレへと進化を遂げたのだ。
「メルヘン村はぼっとん便所歴が30年以上でして。もういい加減に現代と足並みを揃えようということで。その際に、ドン・グリスと佐賀県ご当地キャラクターの有明ガタゴロウ君で“完成イベント”をしたんです。約50人ぐらいの方に来ていただいて、園としても盛り上がりました」

トイレの改装も一つのイベントにしてしまう力技がすごい。なんと、水洗トイレのテープカットまで行っていた。国内では類を見ないのではないだろうか。筆者はその出来事を新聞で知ったが、その記事に付けられた「さよなら、ぼっとん便所」というタイトルがとてもキャッチーで印象に残っていた。
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