「検索してはいけない」「怖い」不穏なワードと共に検索される謎の“遊園地” 崖っぷち経営の《自虐イズム》に隠された、実は真面目な生存戦略

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それを見たテレビ番組スタッフから連絡があり、『月曜から夜ふかし』の中で自虐CMをつくることになった。このテレビ出演が、地方の小さな遊園地だった「メルヘン村」を一躍全国的に有名にした。

哀愁と笑いのコンボ

見ていない方が多いと思うので、2020年に『マツコの月曜から夜ふかし』で、どんな自虐CMを公開したのか少し紹介したい。

滑り台になっているドン・グリスのオブジェ
滑り台になっているドン・グリスのオブジェ。裏側はこんな感じ(筆者撮影)

例えばこちらのドン・グリスのオブジェ、実は尻尾はすべり台にもなっており遊べるのだ。しかし、実際に滑ってみると傾斜の迫力に対してとてもゆっくり進む。自虐CMでも子どもたちからも「あんまり滑らん」とすぐ飽きられていたが、設置費用はどーんと8000万。

かなりの金額を費やして造られたオブジェだが、それ以前に実はメルヘン村は下水道の設備が導入されておらず、2020年時点でもぼっとん便所だったのだ。令和の時代に……。案の定番組内でも「そのお金で水洗トイレを導入したほうがよかったのでは?」とマツコから突っ込まれていた。

テントドーム
テントドーム(画像提供:メルヘン村)

また、敷地内にはテントドームがあり、雨の日でも子どもたちが三輪車で遊べるようになっている。ところが砂埃がひどいため、ある日砂利を敷いてみたら三輪車が空回りしてこげなくなってしまったという……。

遊園地の目玉である観覧車も、ギシッというさびめいた駆動音が聞こえてきたり、強風にあおられたりする様子を「独特のスリルと迫力がある」と含みのある表現でアピール。

観覧車から見た風景
観覧車から見た風景(筆者撮影)

ほかにも忍者村に買収されたことによる“大人の事情”や、副支配人・境田さんのサラリーマンとしての悲哀もユーモラスに取り上げており、哀愁と笑いのコンボが絶妙な取り上げられ方をしていた。

番組の反響はどうだったのだろうか?

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