まさに弱肉強食、飼っている魚もときには生き餌に!?海洋生物学者が明かす、水族館「食」の凄い真実《水族館が100倍楽める話》

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そのほかに、釣り餌に使うようなオキアミやペットショップにあるアミエビ、赤虫、そして人工の配合飼料も使う。

さらに、一部の生き物は雑食もしくは植物食だから、ワカメやコンブなどの海藻、アマモなどの海草、そしてときにはキャベツやホウレンソウなども使う。SNSで話題になった「キャベツを取り合うウニ」のような光景が、普通に水族館で見られるのだ。

実は雑食(写真:icebergpicture/PIXTA)

生き餌を用意することも

さらに、プランクトンしか食べない動物、主にクラゲやホヤなどによく使われるのが、アルテミア(ブラインシュリンプ)というごく小さな甲殻類。ほら、自由研究のキットで売っている「シーモンキー」ってあるでしょ、あれの仲間。乾燥した卵で売っているので、孵化(ふか)させた幼体を水中にばらまいて与えるのだ。

そして、「生きた餌しか食べない」生き物のために、活餌(いきえ)を用意することもある。

生きた貝やカニ、小さなエビ、中にはメダカや金魚を使うことも! 先ほどのアルテミアも、孵化させてから与えるから、広くいえば活餌ということになる。

これらの餌を、展示水槽、予備水槽問わず、過不足なく与える。餌が不足すればすぐにやせ細って死んでしまうし、残せば水質悪化のもとになるので、適量を見極めるのが水族館スタッフの妙技だ。

また、餌の撒き方も工夫が必要。

例えば、大水槽では、上から落としても上のほうの魚に食われてしまうので、底のほうの魚に行き渡らない。こういうときは、時間差をつけて与えるか、もしくはスタッフがダイビングで水底の魚に餌を届けることもある。ときには、それをショーとして観客に見せている園館もある。

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