ではなぜ、「炎舞炊き」で炊くごはんはそこまでおいしいのだろう。
ポイントは、「IHヒーター」で局所的に加熱し、温度差を生み出すことで、米と水に複雑な対流が生まれることにある。対流に乗って米が「舞う」ことで、表面のでんぷんの糖化が進み、甘みの強いごはんが炊き上がる。

象印では、この「甘みがどれだけ強いか」を「おいしさの指標」の1つとしている。現在の「IHヒーター」の仕組みが生まれるまで、開発陣は途方もない努力を重ねたそうだ。
「私も元々は開発畑で、炎舞炊きチームの血の滲むような試行錯誤をずっと見てきました。だからこそ、人件費も手間もかかりますが、妥協できません。味がぶれてはいけないんです」
そのごはんを、象印食堂では常時3種類、食べ放題で味わうことができる。目的は「食べ比べをしてもらうこと」だ。
食べ比べをすると人は、「こっちよりもあっちがおいしい」と、自分好みの味を発見しやすくなる。もしも用意された3種類のごはんがドンピシャの好みでなくても、「もっと硬めが好き」など、ごはんへの趣向が見えてくるのだ。そこから、好みに合わせて121通りもの炊き方ができる「炎舞炊き」の購入につなげることが狙いである。
ごはん3種類の内訳は、まず、象印が一番おいしいと考える、「粘り」と「かたさ」のバランスを実現した「ふつう」。月替りで炊き上がりの食感を変える、「しゃっきり/もちもち」、そして、同じく月替りで玄米や雑穀米を混ぜた「健康応援米」だ。

「取扱説明書通り」に炊くことの重要性
使う米にも並々ならぬこだわりがある。品種は、お米に対する専門知識がある人にのみに与えられる最上位資格「五ツ星お米マイスター」を持つ金子真人さんが選定した「さがびより」と「つや姫」のブレンド米だ。
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