「ディズニーのカチューシャ買って即フリマ売り」Z世代≪ごめんね消費≫の深層心理

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この投稿の存在を教えてくれたのが、先ほどのモネさんと、ニッセイ基礎研究所の廣瀬涼氏です。モネさんは「投稿見てなるほどと思って、自分も(行くたびに)やってる」とのこと。

それなら最初から買わなければいいのに、とも思いますが……、園内では友達とカチューシャやコスプレ姿で遊び、同じ「トキ」を楽しみたい、だからつい買ってしまう。でもゴミとして捨てるのは罪悪感があり、コスト面でも無駄、だから即売りに出すのでしょう。

廣瀬氏は、「日々ストレスを抱える彼らは、一見すると非合理的に見える消費を、あえて楽しむことで、明日への活力や精神的充足に繋げているのではないか」と言います。

「自分ファースト」を貫けないZ世代の「意味消費」

私もまさに、そう思います。いわば、昭和や平成でいう、頑張った自分のための「ご褒美」のような消費心理が、Z世代にとっては「背徳グルメ」や「ごめんね消費」に置き換わっている。

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なぜなら彼らが、それだけ普段から「環境や社会に配慮しなければ」や「コンプライアンスを意識して仕事せねば」といった縛りに囚われており、モネさんが言うように「何にも縛られない開放区(=メンタル解放空間)」を強く求めているからでしょう。

Z世代にとって「イミ(意味)消費」のベクトルは本来、環境や社会配慮といった「他者」より、常に「自分自身」に向けていたいはずです。ですが令和の今は、「自分ファースト」が許されない社会でもあります。

周りやコンプライアンスに配慮するのは当たり前、学校やSNSでも、以前から「KY(空気を読む)」を意識し、つかず離れずの友達付き合いを続けてきた。その窮屈な鎧を外し、リラックスできる「界隈」で深呼吸したい。感性が近い仲間と、静かに盛り上がりたい。

ゆえに、あえて「イミ」のないモノやコト、あるいは「エモ」などのココロの領域に、お金や時間を使っているのだと思います。

牛窪 恵 世代・トレンド評論家

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うしくぼ めぐみ / Megumi Ushikubo

世代・トレンド評論家。立教大学大学院(MBA)修了(経営管理学)。同大学院および文京学院大学大学院・客員教授。大手出版社勤務を経て、2001年4月、マーケティング会社インフィニティを設立、同代表取締役。企業各社との消費者取材・研究や多くの著書を通じ、「おひとりさま」「草食系」「年の差婚」などの流行語を世に広めた。これまで内閣官房、財務省、経済産業省等の委員や研究会メンバーを多数歴任。フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」、TBS系「Nスタ」ほか、テレビのレギュラーコメンテーターとしても知られる。

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