夏場にモバイルバッテリー発火事故が急増する理由。手持ちの製品がリコール対象か確認する方法と安全な選び方

7月20日の土曜日、新宿駅と新大久保駅の間を走るJR山手線。午後4時過ぎ、30代女性のバッグから煙が上がった。
スマートフォンを充電していたモバイルバッテリーが異常に熱くなり、慌てて外した。だが熱は収まらない。NHKの報道によれば「バッテリーが熱くなったのではずしたが、熱が冷めず、30秒くらいで発火した」。車内に炎、乗客が消火器で対応。5人が軽傷を負い、山手線は最大2時間止まった。
問題のバッテリーはティー・アール・エイ製「cheero Flat 10000mAh」で、実は2023年6月からリコール対象だった。ただ、3万9000台以上も出回った製品。すべての所有者に情報が届くのは、現実的には難しい。
4日後の24日、今度は水戸駅だ。みどりの窓口の事務所で別のモバイルバッテリーが発火。白煙が充満し、常磐線も一時ストップ。夏の公共交通機関で、立て続けに起きている。

中国での規制強化と大規模リコール
実は日本だけの問題ではない。中国では2025年上半期だけで航空機内での発火事故が15件も発生し、前年同期比で2倍に増加した。1月のエアプサン機では176名が緊急脱出、3月の香港航空機は福州に緊急着陸する事態になった。
こうした事故の急増を受け、中国政府は6月28日から3C認証(中国の安全基準認証、日本のPSEマークに相当)のないモバイルバッテリーの機内持ち込みを全面禁止した。
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