夏場にモバイルバッテリー発火事故が急増する理由。手持ちの製品がリコール対象か確認する方法と安全な選び方
次に衝撃から守ることだ。落下や圧迫で内部ショートが起き、発火につながる。特に危険なのは膨張したバッテリーを押し込んで元に戻そうとすることだ。2021年9月の沖縄では、膨張したモバイルバッテリーを押し込んだ際に発火する事故が起きた。
最後は異常を感じたら即使用中止だ。充電できない、熱くなる、膨張、変形、電源が切れるなどの症状が出たら、すぐに使用をやめて販売店に相談する。特に充電端子の発熱や異臭は危険信号だ。膨張した電池内部には可燃性ガスがたまっており、発火リスクが高い。
もしものときの対処法を知っておく
万が一発火したら、まず自分の安全を確保する。煙や炎が噴き出しているときは絶対に近づかない。1000度を超える高温になっている可能性がある。
火が小さければ、大量の水で消火する。消火器を使う場合は、水系(泡消火器など)が効果的だ。粉末消火器でも消火は可能だが、リチウムイオン電池は再発火することがある。
消費者庁の報告書によると、消火後、アルミ缶に入れて保管した人がいた。賢明な判断だ。リチウムイオン電池は温度が下がっても再発火の可能性があるため、可能な限り水没させた状態を保つ。そして必ず119番通報する。「リチウムイオン電池の火災」と伝えることが重要だ。
公共交通機関での対応も知っておきたい。山手線の事故では乗客が車内の消火器で初期消火に成功した。電車の消火器は通常、ドア付近や座席下にある。位置を確認しておくと、いざというときに役立つ。
安さだけで選ぶと危ない。品質の低い製品には安全装置が働かないもの、品質管理が甘いものがある。
チェックポイントはいくつかある。
PSEマークは必須だ。2019年2月から義務化された安全基準の証しで、本体に「PSE」の文字と事業者名が記載されている。
でも、それだけでは足りない。日本法人はあるか、日本語で問い合わせできるか確認したい。トラブル時に連絡が取れないと困る。保証期間が明記されているか確認する。事故時の補償にかかわってくる。
より安全性を求めるなら、リン酸鉄リチウムイオン電池や準固体リチウムイオン電池を採用したモバイルバッテリーという選択肢もある。発火リスクが低く、高温環境でも安定している。ただし、通常のリチウムイオン電池と比べて価格が高く、重量も増す。安全性と携帯性のバランスを考えて選びたい。

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