故・山崎元氏が最も信頼した個人投資家が語る、投資が「大人の嗜み」から「必修科目」になった時代でも変わることのない《投資の基本的な原則》
資産を大きく増やすということまでは考えていない人であっても、せめてインフレ率と同じくらいの運用をしなければ、実質的に資産は減っていってしまう。これは、投資の概念を根本的に変えた。
従来の投資は「攻めの投資」、つまり「資産を増やすための手段」として捉えられていた。しかし、インフレ時代においては「守りの投資」、つまり「資産の価値を維持するための必要な手段」という側面が強くなった。
たとえば、年2%のインフレ時代に年2%のリターンを得る投資をした場合、実質的には資産価値は変わらない。これは一見すると「増えていない」ように思えるが、実際には現金で持っていた場合の価値目減りを防いだことになる。
言い換えれば、年2%のリターンを得ることで、実質的に年2%分の「損失を回避」したのだ。
全世界株式インデックスファンドの長期期待リターンは年4〜6%程度とされている。年2%のインフレ環境下では、これは実質リターンで年2〜4%に相当する。決して大きなリターンではないが、現金で持っているだけでは失われてしまう購買力を維持し、さらに少しずつ増やしていくことができる。
必修科目となった投資
この環境変化により、私たち日本人にとって、投資は「資金に余裕がある人がやるもの」から、皆がやるべきもの、つまり「必修科目」へと様変わりした。
これは決して大げさな表現ではない。金融庁の「資産所得倍増プラン」(2022年11月公表)では、「貯蓄から投資へ」のシフトを国策として推進することが明言されている。また、文部科学省の学習指導要領改訂(2022年度から実施)により、高校の家庭科で金融教育が必修となった。
企業の確定拠出年金制度も普及が進み、多くのサラリーマンが否応なく投資商品を選択しなければならない状況になっている。「投資はよくわからないから現金で持っておく」という選択肢はすでに時代遅れの考え方なのだ。
新NISA制度の拡充も、この流れを後押ししている。年間投資枠360万円、生涯投資枠1800万円という大幅な拡充は、政府が「国民全体の投資参加」を想定していることの表れだ。
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