故・山崎元氏が最も信頼した個人投資家が語る、投資が「大人の嗜み」から「必修科目」になった時代でも変わることのない《投資の基本的な原則》

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、この25年で時代はすっかり変わった。現在は、物価上昇と金利上昇が当たり前のように私たちの社会で起きている。

2022年以降、日本の消費者物価指数は前年比2〜4%の上昇を続けている。これは1990年代前半以来、約30年ぶりの高い水準だ。「失われた30年」は過ぎ去り、「金利ある世界」に日本も戻ったというわけだ。

2024年3月、日本銀行は2007年以来17年ぶりに政策金利を引き上げ、マイナス金利政策を解除した。これは象徴的なできごとだった。

長らく続いた異常な金融緩和の時代が終わりを告げ、「ふつうの経済」に戻り始めたことを意味している。

物価や金利の上昇により、現金を持ってじっとしているだけでは、実質的に価値が目減りしていってしまう状況になった。これは多くの日本人にとって、30年ぶりに直面する新たな現実だ。

現金の「静かな目減り」という現実

インフレの影響を具体的な数字で見てみよう。

年2%のインフレ率というのは、日本銀行が目標として掲げる「適度なインフレ率」だが、この水準でも現金の価値は着実に目減りしていく。

たとえば、現在100万円を現金で保有しているとしよう。年2%のインフレが続くと、1年後にはその100万円の価値は98万円相当になる。5年後には約90万円相当、10年後には約82万円相当まで価値が下がってしまう。

つまり、10年現金を持ち続けるだけで、実質的に18%もの価値を失うことになるのだ。

これを身近な例で考えてみよう。現在500円で買えるハンバーガーが、年2%のインフレで10年後には約610円になる。同じハンバーガーなのに、現金で持っていただけでは110円分も購買力が下がってしまうのだ。

この「静かな目減り」は、多くの人が実感しにくいからこそ恐ろしい。

一方、銀行の普通預金金利は2025年7月現在でも0.2%程度と、インフレ率には遠く及ばない。これは、銀行にお金を預けていても、実質的な価値の目減りを防ぐことはできないことを意味している。かつてのデフレ時代とは真逆の状況になったのだ。

次ページ根本的に変わった「投資」の概念
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事