スクープのはずが一転して本人が明確に否定… 石破首相「退陣報道」、4年前と重なる"既視感"の正体

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7月23日午後には党本部で、麻生太郎最高顧問、菅副総裁、岸田文雄前首相の3人の総理経験者に森山幹事長を加えた5人で1時間20分にわたって会談。日米関税交渉について報告などが行われたが、この会談についても石破首相は「私の出処進退については一切、話は出ておりません」と続投を強調した。

しかし報道によると、“反石破”で知られる麻生氏が、選挙結果を踏まえた責任の取り方を石破首相に迫ったとされる。また、昨年の総裁選の決選投票で石破首相を支持した菅氏も、地方組織から参院選敗北の責任を問う声が出ている事実に党分裂の危機感を口にし、岸田氏は「総括はいいが、これからの見通しはどうなのか」と石破首相による今後の党運営に疑問を呈したという。

石破首相も「強い危機感を共有した。党の分裂はあってはならない」と記者団に語り、会談の内容が穏やかなものではなかったことを認めた。だが、続投にこだわることこそ党の分裂を深めているという現状から目を背けている印象だ。

不満のガス抜きへ自民党は躍起に

そして、事態は動き出している。

参院選を総括する自民党の両院議員懇談会は当初、7月31日に予定されていたが、開催が28日に前倒しされることになった。想像以上に噴出した不満を、なんとかしてなだめたいという思惑だろう。さらに参院選の総括について党内に新たに立ち上げる組織の下で8月中に行うことになったが、その間の党内政局は激しくなりそうだ。

石破首相は著書『保守政治家』で、政治の師である故・田中角栄元首相から「首相は天命だ」と教えられたことについて、次のように述べている。

「天命が下った時に能力が足りないという言い訳は許されない。国民が巻き添えになるようなことがあれば、これまでの政治活動が全部無意味なものになる」

一連の騒動が国民にとって望ましい形で収束することを望みたい。

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