スクープのはずが一転して本人が明確に否定… 石破首相「退陣報道」、4年前と重なる"既視感"の正体
読売新聞とNNN(日本ニュースネットワーク)が7月21日と22日に行った共同世論調査では、石破内閣の支持率は22%と前月から10ポイントも下落し、内閣発足以来最低を記録した。不支持率は67%で同14ポイントも上昇。「辞任すべき」との意見は54%にまで達している。
すでに“流れ”が作られたように見える。その一方で既視感もあった。今から4年ほど前、2021年8月31日夜に毎日新聞が配信し、“菅降ろし”のきっかけとなった「首相、9月中旬解散意向 党役員人事・内閣改造後」というネット記事だ。
持病悪化を理由に退陣した安倍晋三氏の後を受け、菅義偉氏が政権を担ったのは2020年9月16日のことだった。当時のNHKの調査によれば、菅内閣発足時の支持率は62%・不支持率は13%で、7年8カ月の安倍政権を辣腕の内閣官房長官として支えた菅氏に対する国民が好感度の高さを反映したものといえた。
4年前のスクープの裏側
だが、菅政権は1年1カ月の短命で終わった。新型コロナウイルスの感染者数の急増や、数次にわたる緊急事態宣言による経済の停滞のほか、映像制作会社に勤務する長男が総務省官僚を接待していた問題も発覚し、内閣支持率は急落した。
一方で、衆議院の任期は10月21日に迫っていた。菅氏の自民党総裁としての任期は9月30日まで。通常なら総裁選を行った後に衆院選に臨むことになるが、8月10日に発表されたNHKの世論調査で内閣支持率が29%と“危険水域”とされる30%を切り、不支持率は52%まで上昇した。
国民に不人気の総裁では自民党は衆院選を戦えない。それでもなんとか内閣支持率の回復を図るべく、党人事の刷新が画策された。8月30日15時半に二階俊博幹事長と林幹雄幹事長代理(いずれも当時)が官邸に入り、事情を察した二階氏が「自分に遠慮しないで人事をやってほしい」と、自ら首を差し出したといわれている。
2021年8月31日の毎日新聞のスクープ記事は「恨みを抱いた二階氏が書かせた」とも言われたが、「安倍元首相の意向だった」ともささやかれた。いずれにせよ、衆院解散という首相の“伝家の宝刀”は封じられてしまい、菅氏は総裁選への出馬を断念せざるをえなかった。
だが、同じ支持率低下を前にして、今回の石破首相の反応は違った。
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