
学生時代に借りた奨学金を「肩代わり返済」する企業が増えている(写真:Graphs/PIXTA)
とある奨学金貸与者の物語
「ひとりっ子で、父はサラリーマン、母は専業主婦。世田谷のマンションで何不自由なく育ちました。ところが高校時代、父がギャンブルで、母もスピリチュアルにのめり込んで両親揃って自己破産。家賃が払えなくなり、マンションを出て行かざるを得なくなったんです」
多感な10代の頃、大橋武宏さん(仮名・30歳)の日常は大きく崩れた。審査に通らなかったのか、一家は都心を離れ、古い賃貸アパートへ引っ越した。
「生活は一変し、高校卒業後はすぐ働くことも考えました。でも、『いつか家族であのマンションに戻りたい』という気持ちが強くなり、大企業に就職して稼ぎたいと思ったんです。けれど高卒では難しい。だから、奨学金を借りて大学進学を決めました」
一浪の末、大橋さんは都内の名門私立大学に合格。第一種(無利子)と第二種(有利子)の奨学金を合わせて約500万円を借り、4年間通った。
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