「毎月1万円の返済でも厳しい」若手社員たちナゼ発生? 急増する「企業の奨学金"代理返還"」切実な実情

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日本経済新聞(2025年2月3日付)によると、2021年4月末に65社だった導入企業は、2024年12月末時点で2781社となっている。これからさらに増える見込みだ。

若手社員が将来を安心して描けるように

福岡県に本社を構える電気機械器具卸売業の九州機電株式会社は、1931年の創業から95年目を迎え、日立グループの特約店として北九州およびその周辺地域を中心に、空調機器・産業機器・照明・省エネ機器など、多岐にわたる設備機器の販売・設計・施工・メンテナンスを手がけている。

人材確保を最大の目的として、同社は2024年より代理返還制度を導入した。管理本部の村竹浩司氏はこう語る。

「弊社は従業員数105名。現在、制度の対象となっているのは11名です。月額1万5000円、最大で総額180万円を上限に、最長10年間、もしくは本人が35歳に達するか、奨学金を完済するまで代理返還を行います。2025年度に入社した新卒社員の2名が制度を利用しており、また、在籍する34歳の社員も、1年間だけですが、制度の対象となりました」

当然ながら人によって返済額は異なるが、代理返還の金額は全員一律で1万5000円だ。例えば月々1万8000円を返済している社員であれば、差額の3000円は自分で返済することになる。

プラント建設から物流、メンテナンスまで一貫したトータルサポートを提供する、1918年創業の山九株式会社も2024年から奨学金の代理返還制度を導入している。

「数年前から若手社員が奨学金返済に苦労しているという声を耳にするようになりました」

そう語るのは、同社の人事部マネージャー・大井啓一郎氏。従業員数1万2235名を誇る山九は、「パルスサーベイ(従業員満足度や心の健康を測るアンケート)」などをもとに、若手社員に仕事のやりがいや職場環境について定期的にヒアリングした結果、奨学金の返済が大きな不安要素であることが判明したという。

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