危機時こそ長期視点で投資する--マイケル・J・キャヴァナー JPモルガン・チェース 資金管理・証券保管部門CEO

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米国のビジネスについても同じことがいえる。現在5000店舗以上の支店を全米で展開しており、クレジットカードビジネスも全米で行っている。中小企業向け、住宅ローンビジネスを含めて当社グループですべて持っていることによって米国でも強固な営業基盤を保持している。当社のさまざまな能力を組み合わせることによって、顧客に役に立つサービスが提供できる。

--あなたがCEOを務める資金管理・証券保管部門の強みと最重要戦略は何か。

われわれの特徴としては、資金管理業務において全米の「フォーチュン500」企業の90%の企業と取引を行っており、グローバルな「フォーチュン500」企業の80%と取引をしている。それだけの世界的なプレゼンスを有している。また、証券保管業務においても、顧客の管理資産は17兆ドルと世界トップ3に入っている。

当社が将来の大きな事業機会だととらえているのは第一に、グローバリゼーションが今後も続くということを確信していることだ。それに基づいて10年、20年、30年先を考えると、事業会社の金融フローや取引は国境を越えて膨大なものとなり、当社は資金管理・証券保管業務を通じて顧客をサポートすることができる。先進国と新興国との間の投資のフローに関しても長期的トレンドとして膨大なものとなり、当社はこれをサポートしていきたいと考えている。

われわれの強みはグローバルなネットワークにある。資金管理・証券保管部門の照準は国境を越えてグローバルに投資を行う法人や多国籍企業や政府に当てており、ホームマーケットの銀行とわれわれがパートナーシップを組んで顧客をサポートしていく。

--日本でのビジネス展開は。

日本の大手の銀行も当社の顧客であり、米ドルの支払い業務や投資証券のグローバル・カストディ業務を行っている。日本の事業会社に対しても、世界的な活動を行っているところは当社のグローバルネットワークを利用してもらっている。日本は当社にとって極めて重要なマーケットであり、日本でビジネスを行いたいと考えている日本以外の企業をサポートする人材と能力も日本のオフィスに備えている。

Michael J. Cavanagh
米国エール大学史学部卒。シカゴ大学で法学博士号取得。シティグループを経て2000年、戦略・企画部門ヘッドとしてバンク・ワン入社。04年、JPモルガン・チェースCFO就任。10年6月より現職。
(聞き手:中村稔 撮影:梅谷秀司 =東洋経済オンライン)

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