なぜ自動車メーカーは「アウトドアビジネス」に消極的なのか? 試金石が生かされない「製販分離」の功罪

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実際には、「アウトドアという付加価値が、新車販売を後押しする」という、従来型のビジネスモデルにとどまる。

車両を販売・納車したあとまでに踏み込んでマネタイズ(事業化)しているケースは、ほぼない。

そうした状況に風穴を開けようとしているのが、三菱自動車工業(三菱)だ。

アウトドアファンが多いスバルはいかに

三菱本社が主導して、全国各地の販売店を巻き込んだキャンプイベント「スターキャンプ」を軌道に乗せた。

また、博報堂との合弁企業「NOYAMA」を設立し、アウトドア向けのクルマとキャンプギアをまとめてレンタルできる「e-Outdoor」や、アウトドア教室「冒険の学校」など、新発想のサービス事業を次々と立ち上げている。

・NOYAMAが展開する、アウトドア体験「冒険の学校」に関する展示。写真:筆者撮影。
NOYAMAが展開する、アウトドア体験「冒険の学校」に関する展示(筆者撮影)

同社関係者によれば、冒険の学校を企業向け研修パッケージ化する計画もあるようだ。こうした三菱の積極的な動きを、ほかのメーカーが後追いする気配はない。

最も後追いしそうなのがSUBARU(スバル)だが、現時点で大きな動きはない。

直近では新型「フォレスター」が、ストロングハイブリッドの採用もあって販売は好調。アウトドアを意識した多様なオプションを用意している。

一方、三菱のスターキャンプのような、スバルが主導するアウトドア関連イベント実施には至っていない。

スバルは2021年「SUBARU 里山スタジオ(千葉県鴨川市)」をオープンしているが、報道陣向け屋外撮影や、開発関係者らが新型車について自由に意見を出し合うブレインストーミングの場として活用するにとどまっている。

また、アウトドア好きなユーザーのミーティングは全国で複数存在するが、いずれもスバル本社主導ではない。

SUBARUが千葉県鴨川で実施した、メディア向けオートキャンプの様子(筆者撮影)
SUBARUが千葉県鴨川で実施した、メディア向けオートキャンプの様子(筆者撮影)

トヨタ関連ではレクサスが、「レクサス オーバートレイル キャンプ」としてアウトドア体験イベント事業を始めているものの、ブランド価値向上による新車販売効果が主な目的であり、アウトドア事業単独での将来性はまだ見えてこない。

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