栄光と挫折… 実は対照的な政治家人生を歩んできた蓮舫氏と山尾氏が迎えた「参院選」それぞれの"正念場"
しかし、岡田氏は同年の参院選後に代表選への不出馬を宣言し、新代表には蓮舫氏が就任。山尾氏は国民運動局長に“格下げ”された。
ただ、冒頭でも触れたように蓮舫体制は1年ももたず、2017年9月に前原体制が発足した。山尾氏は幹事長に抜擢され、次期代表を狙えるポジションに就くはずだった。だが好事魔多しで、8歳下の弁護士とのホテルでの“前祝い”を『週刊文春』に報道され、幹事長就任どころか離党を余儀なくされた。
それでも同年10月の衆院選には834票差で生き残り、「候補を立てない代わりに希望の党に参加する」との前原氏との約束を反故(ほご)にする形で立憲民主党に入党した。
その後、山尾氏は2020年3月に「風通しが悪い」と立憲民主党を離れ、6月に前原氏が代表代行を務めていた国民民主党に入党。その3カ月後に両党がリシャッフルされて新党になったため、山尾氏は「国民民主党の創設メンバー」になった。
2021年の衆院選への出馬を模索したが、東京で議席を獲得することは困難なため、出馬を諦めたとみられていた。2024年の衆院選では、東京都内の小選挙区の数が25から30に増えたためだろう、山尾氏は自民党からの出馬を模索したとの関係者の証言がある。
激しい選挙戦を展開する山尾氏、蓮舫氏は穏やか
今回の参院選では、なんとしても候補者がほしい玉木雄一郎代表と国政復帰をもくろむ山尾氏の利害が一致したが、玉木氏の見通しが甘かった。党内での反対意見を押し切ったものの、国民民主党の政党支持率の急落の前になすすべなく、山尾氏の切り捨てを決意。山尾氏の“出馬会見”の翌日に、国民民主党は山尾氏の公認見送りを決定した。
これで国政復帰の道を塞がれたと思われた山尾氏だが、参院東京都選挙区に無所属で出馬。第一声を地元の吉祥寺で上げた後、23区内も精力的に演説してまわり、「女性女系天皇の議論」と「憲法9条改正」を主張している。さらに、中国をはじめとする外国からの脅威に対して各党が主張する「保守しぐさ」や「減税しぐさ」についても厳しく批判し、国民民主党に切り込む姿勢も見せている。
一方の玉木氏は、これまでのところ山尾氏が本拠地とする多摩地域に入っていない。23区内の有権者数は796万4926人(2025年6月1日現在、以下同)で、市部の350万8084人、町村部の6万5709人と比較して圧倒的に多く、効率的に回るなら区部内になるが、山尾氏を避けている印象は否めない。
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