【A70型・A80型・A90型】ファイナルエディション発売&生産終了がアナウンスされたトヨタ「スープラ」の歴史を振り返る

また、個人的に最も印象深いのは、やはりA80型だろう。この機種は、ハリウッドのカーアクション映画「ワイルド・スピード」シリーズに登場したことで、当時、世界的に流行した「日本製スポーツカー」ブームの立役者的モデルだったからだ。とくに2001年公開の第1作など初期のシリーズでは、主役のひとり、ブライアン・オコナー役を演じた故ポール・ウォーカー氏の愛車などとして登場。劇中で、エアロパーツや派手なボディカラーでカスタムされたA80型スープラは、北米で発祥し日本にも伝播した「スポコン(スポーツコンパクト)」というカーカスタム・カルチャーのお手本にもなったほどだ。
当時、筆者は、そうしたカスタムカーを紹介する専門雑誌の編集長を担当していたが、なかでもA80型は、日本車としては大柄な車体や、高価だったこともありかなり特別な存在だった。そのため、カスタムカーのベース車としてだけでなく、まさに日本製スポーツカーの代表格として知れ渡り、世界中に熱狂的な支持者を生んだ1台だったといえるだろう。
旧車から自動車文化を守るトヨタの活動

ちなみに、今回展示されたA70型やA80型は、TOYOTA GAZOO Racingが展開するGRヘリテージパーツを各部に採用し、美しくレストアされていたのが印象深い。GRヘリテージパーツとは、生産終了した車両の純正部品を復刻し、再供給する取り組みのことで、A70型とA80型スープラも適合車種に入っている。
とくにA70型は、3世代中で最も年代が古いにもかかわらず、内外装からエンジンルームまでピカピカ。それもそのはず、この車両は、トヨタ車を中心に旧車レストア事業で高い実績を誇る「ネッツトヨタ富山GR Garage富山新庄」が修復を担当したのだ。もともとの車両は、旧車レンタル事業の「Vintage Club by KINTO」が、2022年から約2年半の間レンタカーとして稼働させていたもの。
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