曲がり角を迎える日本の人事~その課題を探る《1》

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●非メーカー系で目立つ「従業員満足度」

 メーカー系では「従業員満足度」はそれほど大きな成果指標ではなかったが、非メーカー系は高く、特に「1001名以上」の非メーカー系は48%と目立っている。「女性管理職比率」は、メーカー系でも非メーカー系でも「1001名以上」の企業のみが指標としているようだ。

ほかに目立つ項目は「従業員1人当たり売上高」だ。「1001名以上」は21%だが、「301名~1000名」は36%と急増し、「1~300名」は41%と大きな成果指標になっている。逆に「戦略的人材配置の達成度」は、「1001名以上」では24%だが、「301名~1000名」13%、「1~300名」8%と規模が小さくなるにつれ低くなっている。

「その他」に回答した人事のコメントを読むと、そもそも「成果指標」という考えを持っていない企業もある。また成果指標は「会社の業績」というコメントもある。

図表7:人事マネジメントの成果指標として活用しているもの
(非メーカー系・規模別)

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●戦略が重視される5年後の成果指標

 現在活用している成果指標は「総人件費」が断トツのトップだった。しかし回答した人事担当者は、5年後に大きな変化を予測している。5年後でトップなのは「経営戦略と人事戦略の合致度」。現在の30%→5年後51%と非常に高くなっている。「従業員満足度」も28%→45%になっている。「戦略的人材配置の達成度」は12%→35%。「組織活性度」も18%→30%と増えている。

これらの項目を見ると、人事マネジメントにおける戦略が重視されてくる、と回答者たちは予測しているようだ。

図表8:現在と5年後の成果指標

次回は、人事考課制度の改定状況と女性活用の進展について取り上げる。

HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
(本社:東京千代田区、所長:寺澤康介)
人事のプロを支援するポータルサイト「HRプロ」を運営するHRプロ内の調査・研究部門。企業・団体のHR(人事)領域に関する調査、研究を行う。外部の調査機関による調査研究結果も紹介するなど、「開かれた研究所」を志向する。「HRプロ」内に、新卒/中途採用、教育・研修、労務、人事戦略などの業務に役立つ調査レポートを掲載している。

 

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