「あのとき私が…」末期がんの母を看取った50代女性の心の傷とは――大切な人が亡くなる前にしておきたい《後悔しない向き合い方》

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最後は、この連載でも何度か触れていますが、「もしも」の話を早めにしておくことです。いくら仲のよい家族でも、差し迫ったタイミングでの話し合いは、冷静な判断ができないことがあります。

「最期が近づいたら、自分はどのように過ごしたいか」というのは、多くの人が先延ばしにしがちなテーマですが、「こう過ごしたい」という意思を周囲に伝えることができていたら、残される家族も安心して本人の意思に沿った方法を選択することができます。

もっと優しくしてあげたらよかった

親を看取った人からは、「もっと優しくしてあげたらよかった」という言葉もよく聞かれます。

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特に、がんの末期は急に状態が変化するので気持ちが追いつかず、患者に「もっと頑張ろう」と叱咤激励してしまうこともよくあり、「こんなに早く逝ってしまうなら、もっと優しくしておけばよかった」と、振り返って話す家族も多いのです。

病気をして一番つらい思いをしているのは本人です。いざというときにその本人をどう支えられたか。それがひいては自分の後悔の濃度にも関わってきます。

後悔しないために大事なのは、相手を思いやること。このことを胸に刻んで、大切な人との残された時間を過ごしてほしいと思います。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄 向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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なかむら あすみ / Asumi Nakamura

2000年、東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」・緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。近著に『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(講談社+α新書)。

 

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