「あのとき私が…」末期がんの母を看取った50代女性の心の傷とは――大切な人が亡くなる前にしておきたい《後悔しない向き合い方》

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Aさんのケースでいえば、母親から不調の訴えを聞いたときに、あるいは治療について疑問が出てきたときが、立ち止まるタイミングだったかもしれません。

Aさんは母親の不調を「年齢のせいではないか」と考えていましたが、高齢者で不調が表れたときに、それが加齢によるものなのか、病気の影響によるものなのかを、医療に詳しくない人が判断するのは難しいです(医師であっても検査なしで見極めるのは難しいです)。

そのため、高齢の親が何か異変を訴えたら、早めに病院を受診するよう促すことが大切です。「あのとき受診させていたら」というのは、家族のなかでよく見られる後悔です。

Aさんはまた、医師に母親の治療について聞いたら、医師の機嫌を損ねてしまうのではないかと“勝手に”心配して、相談することをあきらめていますが、そんなことはありません。

医師との関係を心配する気持ちもわかりますが、「聞くべきことを聞けなかった」というのも後悔につながります。もし、質問や相談をして態度が悪くなるような医師であれば、それは医師側に問題がありますから、主治医を変えるのも選択肢の1つです。

「言わなくてもわかってくれる」はNG

そして、家族間でも「言わなくてもわかってくれる」はNGです。

例えば、療養中の家族が突然「入院したい」と言ったとしましょう。その本心は「病院のほうが医療スタッフもいて、安心できるから」かもしれませんし、「本当は家にいたいけど、家族に迷惑をかけるかもしれないから、入院しよう」かもしれません。

お互いを思いやるあまり、本音を伝えられずにギクシャクしてしまうことで、あとで悔やむケースは決して少なくありません。

意見が合わない、噛み合っていないと感じたら、きちんと話し合うことを心がけましょう。本音で一歩踏み込んでみることで、うまくいくこともあります。

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