ARグラス国内シェア7割のXREAL、GoogleとAndroid XR搭載「Project Aura」共同開発。"スマホの次"を狙う空間コンピューティング
興味深いのは、Googleの本音だ。シュウ氏が引き合いに出したのは、2025年5月の開発者会議「Google I/O」での一幕だ。セルゲイ・ブリン氏がジャーナリストのインタビューに答えた際、10年前のGoogle Glass失敗の教訓を3つ挙げた——技術の未成熟、AIの非力さ、そしてハードウェア製造経験の不足。だからこそ今回は、自前主義を捨てて外部パートナーとの協業を選んだのだという。
XREALが評価されたのは、同社独自の強みがあったからだ。自社開発の空間コンピューティングチップ「X1」と、中国に構える光学モジュール工場。「これらはGoogleが持っていない重要なピースでした」とシュウ氏は語る。
実際、XREALは業界でも異例の存在だ。ARグラス専用チップを自社開発しているのは、AppleのVision Pro以外ではXREALぐらい。さらに光学モジュールまで内製化している企業となると、ほぼ皆無に近い。

ウェアラブルディスプレイから空間コンピューターへ
Project Auraの技術仕様を聞くと、その野心の大きさがわかる。視野角は70度超——この日発表されたOne Proの57度、従来モデルの50度と比べても飛躍的な進化だ。光学シースルー型デバイスとしては業界最大級となる。
「これは単なるディスプレイではなく、空間コンピューティングデバイスです」とシュウ氏は強調する。価格帯も現在の5万〜8万円台から大幅に上がり、マイクロソフトが企業向けに開発したMRヘッドセット「HoloLens」(現実空間に3Dホログラムを重ねて表示できるゴーグル型デバイス)や、アメリカのスタートアップMagic Leapが手がける同種のデバイスに近い水準になる見込みだ。
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