昔は大学の定員数に対して生徒数が追いついていない状況がありましたが、昨今は定員割れしている大学も増えてきている「大学全入時代」になっています。選ばなければ、大学に入ること自体は容易になってきているのです。
入試制度も影響している?
そして、一般入試以外の入試形態として、総合型選抜・学校推薦型選抜・指定校推薦などの多様な入試形態も増えてきています。これらの入試形態は、一般入試に比べて「早く」結果がわかる場合が多く、「年内入試」とも呼ばれています。つまり、大学受験で高校3年生の終わりまで背伸びをして勉強しなくても、「行ける大学に行く」ということをすればそれでいい時代になっているのです。
この潮流に対して、現場の高校教員からは「もったいない」という声が多いです。「もうちょっと頑張れば、偏差値も倍率も『上』の大学に合格できるのに、なぜ目指さないのか」と。
でもこの「もったいない」という感覚は、子どもたちからするとわかりにくい場合が多いようです。むしろ、頑張って努力しても報われるかどうかわからないし、もし不合格になったらその努力が無駄になってしまうんじゃないかと考えると、努力しない方が「正しい」選択なのではないか、と考えている子どもが多いようです。
スマートフォンの普及も、令和の受験生たちの「リスクを取らない受験スタイル」に関係しているのかもしれません。
スマホで調べれば、どの大学にどのような学部があり、就職実績はどうかといったことも、在校生のリアルな声まで簡単に手に入れることができます。進路の「正解」が、あたかも可視化されているように感じられるのです。
しかし、その“正解らしさ”が、かえって生徒たちの足を止めてしまうことがあるのです。情報が多すぎると、選ぶことが怖くなってしまうのです。失敗のリスクまでもが、はっきりと見えてしまうからです。
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