
今回の取材で知ったのは、難聴児の対応が本当に一筋縄ではいかないということです。SHIORIさんご家族は人口内耳という道を選択しましたが、お子さんの難聴レベルなどによって、何がベストかは変わります。どの道が正解というわけではありません。
さらに、人工内耳によって音を知覚できるようになれば終わりではありません。難聴はインプットの障害で言語を学ぶ力が育ちにくいといわれているので、そこをサポートするために、丁寧かつ繰り返しの訓練が必要になります。言語学習が進んでも、大人数での会話や、ざわついた野外での会話が聞き取りにくいなど目に見えない苦労があります。
精神的な苦労くらいは、夫婦で共有してほしい
子ども自身が自分の障害を自覚して悩んだり傷ついたりすることもあります。SHIORIさんの息子さんも一時期、保育園に行きたくない時期があったそうです。
そういったもろもろの状況を調べて、検討し、決定し、子どもの性格に合わせながら対応して……それを親がひとりで対応するのは並大抵ではありません。SHIORIさんは「仕事の事情などでどうしてもできないパパもいると思うけれど、せめて精神的な苦労くらいは夫婦で共有してほしい」と言います。
ところで、今回の取材でもうひとつ興味深かったのは、美容業界の働き方についてです。美容院は終業時間が遅いイメージだったのですが、コロナ禍を経て、営業時間を前倒しに変更したサロンが多く、以前よりは子育てと両立しやすく変化したのだとか。
ロマチさんは、そんな状況の中、さらに時短勤務もしやすい契約に変えて、息子さんの療育などに対応してきました。難聴児の対応に一番有効だったのは「家庭のための時間を増やしたこと」と断言されます。
次回は、療育以外の話です。おふたりのなれそめや、家事育児分担や、性格の違いなどについて紹介します。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら