息子は「1000人に1人の難病」…そう告げられたある夫婦が悩んだ末に選んだ道 共働き夫婦の仕事は?手術は?

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難聴児の療育に有効なのが絵日記で、体験したことの絵を見ながらコミュニケーションを取ることで言語の訓練につながるのだそう。この絵日記制作担当はロマチさんで(今は息子さんと共同制作)、イラストや写真満載の凝ったつくりに驚きました(写真:著者撮影)

今回の取材で知ったのは、難聴児の対応が本当に一筋縄ではいかないということです。SHIORIさんご家族は人口内耳という道を選択しましたが、お子さんの難聴レベルなどによって、何がベストかは変わります。どの道が正解というわけではありません。

さらに、人工内耳によって音を知覚できるようになれば終わりではありません。難聴はインプットの障害で言語を学ぶ力が育ちにくいといわれているので、そこをサポートするために、丁寧かつ繰り返しの訓練が必要になります。言語学習が進んでも、大人数での会話や、ざわついた野外での会話が聞き取りにくいなど目に見えない苦労があります。

精神的な苦労くらいは、夫婦で共有してほしい

子ども自身が自分の障害を自覚して悩んだり傷ついたりすることもあります。SHIORIさんの息子さんも一時期、保育園に行きたくない時期があったそうです。

そういったもろもろの状況を調べて、検討し、決定し、子どもの性格に合わせながら対応して……それを親がひとりで対応するのは並大抵ではありません。SHIORIさんは「仕事の事情などでどうしてもできないパパもいると思うけれど、せめて精神的な苦労くらいは夫婦で共有してほしい」と言います。

ところで、今回の取材でもうひとつ興味深かったのは、美容業界の働き方についてです。美容院は終業時間が遅いイメージだったのですが、コロナ禍を経て、営業時間を前倒しに変更したサロンが多く、以前よりは子育てと両立しやすく変化したのだとか。

ロマチさんは、そんな状況の中、さらに時短勤務もしやすい契約に変えて、息子さんの療育などに対応してきました。難聴児の対応に一番有効だったのは「家庭のための時間を増やしたこと」と断言されます。

次回は、療育以外の話です。おふたりのなれそめや、家事育児分担や、性格の違いなどについて紹介します。

この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。
ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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