近畿刃物工業は、西日本では同社のみ、という段ボール用刃物の専業メーカーです。現在の阿形社長は、先代が他界して44歳の若さで跡を継ぎました。
その時は、ホンマ、不安だったそうです。それでも持ち前の研究熱心から、業績のいい会社を研究して、最新機械の導入を積極的に行いました。でも最初は、思わぬ失敗もあったそうです。
「竹原さん、せっかくの最新の機械が3年間使われなかったことがあったんですわ」
社員にはもともと自分の担当する仕事があります。慣れない新しい機械を使えば、かえって時間がかかります。操作がわからずその機械に向き合っていると、周りから「仕事をしていない」と思われたりもします。結局、その最新機械は誰にも使われず、3年間ホコリを被ったままでした。
阿形社長は、これではいかんと、以後は新しい機械を導入する時は、専門のオペレーターを付けることにしました。
「新しい機械を入れたら、社員に一から任せず、オペレーターの力を借りることにしました。ここはほかの会社にはないわが社独特のやり方だと思います」
この方法が功を奏し、オペレーターの指導で従来の社員も新しい機械に慣れることができました。品質の向上や納期の短縮など、目に見える成果が上がりました。
経営理念もユニーク
そんな阿形社長、経営理念もユニークです。
『安心して眠れる会社、笑って働ける会社』
この「眠れる」が、いいと思います。そして家族が安心して眠れるためには、父親が頼られる存在であって欲しいのです。父親の権威をとり戻さなければなりません。
「家庭から親父の威厳が無くなったのは、給与の銀行振り込みが一因だと私は考えているんですよ」
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