「ガラパゴス」と呼ばれる日本のPCゲーム市場へ、独自AIチップ搭載40万円超えゲーミングPCで挑むレノボの勝算
しかし、この構図にも変化の兆しが見えている。ファミ通ゲーム白書2024によると、PCゲーム市場は前年比24.9%増と急成長している。背景にあるのは、世界的なeスポーツタイトル『VALORANT』『Apex Legends』の人気や、ゲーム配信文化の広がりだ。特に若い世代では、YouTubeやTwitchで見た海外ストリーマーの影響でPCゲーミングに興味を持つ層が増えている。
レノボは世界のゲーミングPC市場でトップメーカーだ。ファミ通ゲーム白書によると、世界のPCゲーマー人口は18億人を超え、市場は拡大を続けている。しかし日本では「後発ブランド」という立場にある。ASUSやMSIといった台湾メーカーが先行する中、どう巻き返すのか。
AIチップから冷却性能まで独自技術が詰まったハード
同社は「ゲーマーのインポッシブルを可能にする」というメッセージを掲げる。最新のLegion(レギオン)Gen 10シリーズでは、独自開発のAIチップを搭載した。2021年から開発を進めてきたこの技術により、ゲームごとに自動で最適な設定を行い、パフォーマンスを向上させる。

「オーバークロックもサポート内です」と細川英夫氏(ゲーミング製品担当)は強調する。オーバークロックとは、CPUやGPUの動作周波数を定格以上に引き上げて性能を向上させる手法だ。他社では保証対象外となることが多い機能まで含めてサポートすることで、「PCは難しい」というイメージを払拭しようとしている。
最新のLegion Gen 10シリーズは、冷却システムにも力を入れた。プロシリーズに搭載される「Legion ColdFront」は、大型ベイパーチャンバーと独自設計のヒートパイプで熱を効率的に排出する。ファンの枚数や厚さもモデルごとに最適化し、高性能と静音性を両立させた。長時間のゲームプレイでも、カチッとした動作音だけで静かに動作する。

ディスプレイには16インチ有機ELパネルを採用した。VESA TRUEBLACK認証を取得し、黒をより深く表現できる。この認証を持つゲーミングノートPCはレノボだけだ。画面の書き換え回数を示すリフレッシュレートはPro 7で240Hz、Pro 5で165Hzに対応する。ゲームの世界がヌルヌルと滑らかに動き、没入感を高める。
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