「ガラパゴス」と呼ばれる日本のPCゲーム市場へ、独自AIチップ搭載40万円超えゲーミングPCで挑むレノボの勝算

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キーボードも独自設計だ。1.5mmのキーストロークで打ちやすさを追求し、スイッチは交換可能な構造にした。ユーザーが自分でカスタマイズや修理ができる設計は、ゲーミングPCでは珍しい。

手厚いサポートで市場開拓

購入後のサポート体制も手厚く、24時間365日の日本語サポートを提供している。「ゲームのゴールデンタイム、夜10時から12時でもつながる」ことを売りにする。サポート内容も独特だ。「どうすれば勝てるかわからない」といった相談にも、ゲームに精通したスタッフが対応する。DiscordやSteamの設定など、PCゲーム特有の悩みにも答える体制を整えた。

24時間365日対応のサポート窓口で、ゲームに関する幅広い相談を受け付ける(筆者撮影)

レノボは「PCだけで十分なのか」という問いを投げかける。ゲーミングPCだけでなく、周辺機器やソフトウェアを含めた「Legionエコシステム」の構築を進めている。Lenovo Legion Spaceというソフトウェアでは、ゲームランチャーやプラットフォームを一元管理できる。パフォーマンスモードの切り替えや、RGB照明のカスタマイズ、有機ELパネルの焼き付き対策まで、このソフトウェア一つで操作可能だ。

ゲーム周辺機器への展開も図る(筆者撮影)

日本市場への浸透は、インフルエンサーとの協業やイベント開催など地道な活動が中心だ。6月28日にはお台場で体験イベントを開催し、実機に触れる機会を増やしている。「いろんなお客様の目に触れるアクションを取っていく」(三島氏)という言葉通り、まずはPCゲーミングの認知度向上から始める戦略だ。

世界のゲーミングPC市場は2024年の631億8000万ドルから、2033年には1771億8000万ドルまで成長すると予測される。日本市場も小規模ながら成長率は高い。日本のゲーム市場構造を一朝一夕に変えることは難しい。2兆円を超える巨大市場で、PCゲーミングが占める割合は依然として11%程度だ。

しかし、世界最大手の資金力と技術力、そして日本市場に合わせたきめ細かなサポートで、レノボは少しずつPCゲーミングの裾野を広げようとしている。前年比24.9%増という成長率は、日本のゲーム文化に変化が起きていることを示している。ただし、コンソールが築いた牙城を崩すには、まだ時間がかかりそうだ。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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