賃金上昇を待つより、投資してしまったほうが断然効率がいい決定的証拠
株式投資とは単にお金を儲ける手段ではなく、株主として会社の一部を保有する意味を持ちます。株主の視点でその会社を見れば、そこで働く労働者が割を食う時、株主が有利になる可能性を含む何とも不条理な側面があるのです。
そうした歪な構図を是正する目的もあって、近年は法人税引き上げが議論されているとはいえ、劇的な再分配はすぐには起こりそうにありません。
証券投資収益率が賃金上昇率を上回る可能性は高い
では、証券投資の収益率は実際にどれくらいだったのでしょうか。私たちの年金の一部を積み立てて「安全」に運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が公表している資料によれば、2002年初に100万円を投資した場合、2024年末時点における収益は外国株式が839万円(8.4倍)、国内株式が425万円(4.3倍)、外国債券が276万円(2.8倍)、国内債券が125万円(1.3倍)となっています。
日本の賃金上昇率は1990年代後半から2022年までほぼゼロと言って差し支えない低い伸びでしたから、細かな計算をするまでもなく株式の運用が圧倒的に優れていたことがわかります。
ちなみにGPIFの運用実績は、2006~2023年度において+4.82%となっています(下の図表参照)。これは累積ではなく毎年の平均収益率です。各資産の収益率は外国株式が+9.32%、国内株式が+4.74%、外国債券が+4.00%、国内債券が+1.12%でした。

この間、リーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)、英国のEU離脱決定(2016年)、コロナ禍(2020年)など数多くの出来事があり、その都度、株価は急落する場面もありましたが、中長期的に上昇を続けてきました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら