イラン攻撃に踏み切ったイスラエル・ネタニヤフ首相の胸の内、自著で語っていた予見と現実

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そして、ナチズムを例に挙げ、最初は特定の少数民族がターゲットだったのが、ヨーロッパと世界中にその教条が広がったと説く。もしヒトラーが核兵器を手に入れていたなら、文明が終わりを告げていたに違いないと指摘する。

最後に、イランの脅威について次のように締めくくっている。

「こういった恐るべき危険性があるにもかかわらず、それに対する取り組みが成されていないのである。民主国は多くの時間を無駄にしてきた。もうタイムリミットは近い。もはや一刻の猶予もならない」

イスラム革命の復活?

イスラエルの世論は、ネタニヤフを全面的に支持しているわけではない。各地で反ネタニヤフのデモが起きているのも事実である。しかし、イラン問題はまったく別の次元で世界的な脅威となる存在を無視してはならないことを意味している。

今回のヘブライ語での作戦名は「アム・ケラヴィ」(雌獅子のような民)。聖書の民数記23章24節からの引用である。

「見よ、この民は雌獅子のように立ち上がり、雄獅子のように身を起こす」

なぜこのような作戦名になったのかは不明だが、1979年のイスラム革命までイランの象徴の1つだったライオンの復活を意味しているのではないかと指摘する向きもある。

今もイスラエル全土で特別非常事態宣言が出されている。この作戦が数週間続く可能性も示唆されており、予断を許さない状況はしばらく続きそうだ。

谷内 意咲 ミルトス代表

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たにうち・いさく

1972年大阪生まれ。1998年ヘブライ大学ヘブライ言語学科、ユダヤ学学科卒。1999年ユダヤ・イスラエル・中東関連の出版社ミルトスに入社、2016年同社代表取締役に就任。ヘブライ語聖書対訳シリーズ編集委員、雑誌「みるとす」編集代表。

著書に『今日からわかる聖書ヘブライ語』『今日から読めるヘブライ語』、訳書に『賢者たちの【聖書】伝説 上・下』『ユダヤジョーク 人生の塩味』(いずれもミルトス編集部編訳)など。

NHKのBS番組「ダークサイドミステリー」の「神秘の古代ミステリー 徹底検証!日本・ユダヤ同祖論」(2023年7月13日放送)に、ヘブライ語の専門家として出演。

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