アメリカのトランプ大統領は、今回のイスラエルの攻撃について「非常に成功した攻撃だった」と述べ、イランに対しては核協議に合意するよう警告した。そして「われわれは当然イスラエルを支持する」と明言した。
さらにトランプ大統領は、自身のSNSで「2カ月前、私はイランに60日間の『合意』を求める最後通牒を突きつけた。今日で61日目だ。私は彼らに何をすべきか指示したが、彼らはそこにたどり着けなかった」と記した。
イランが西側諸国にとっての脅威であることを、ネタニヤフ首相は数十年前から訴え続けてきた。自著『テロリズムとはこう戦え』は1995年に発刊(原書)されているが、その後数十年の状況を予見している。
ネタニヤフ首相の予見
本書でネタニヤフは、すでにアメリカでの大規模テロの危険性を指摘しており、イスラムテロ組織の反米動向とその潜在的リスクを詳細に分析している。残念ながら、その指摘は2001年9月11日に現実となってしまった。
本書の後半ではイランについても指摘している。ネタニヤフは、国際テロリズムが主権国家の支援なくしては存在し得ないとし、テロリストはテロ支援国家の提供する「安全な避難場所」で訓練を受け、武装し、教化されていると指摘する。
現代の状況に照らしてみると、イランはレバノンのヒズボラ、ガザやヨルダン川西岸地区のハマスやイスラム聖戦、そしてイエメンのフーシ派といった代理勢力を通じて、数十年にわたりイスラエルに対して間接的な攻撃を行なってきた。
これらのグループはイランの「抵抗の枢軸」として反イスラエル活動を継続しており、イスラエルを脅かす「テロの蜘蛛の巣」を形成してきた。
さらに2024年には、イランがイスラエルに対してドローンやミサイルによる直接的な大規模攻撃を2度実施した(4月と10月)。これは代理勢力だけでなく、今後はイラン自らも直接的な軍事行動に踏み切る可能性を示唆した。レバノンのヒズボラが弱体化し、シリアのアサド政権が倒れ、「抵抗の枢軸」の連携が弱まっている今、イランがイスラエルと直接対峙する危険性が顕在化している。
本書の中でネタニヤフは警告する。
「今日の政治的リーダーのほとんどは、世界が地獄の淵に経っているということを少しもわかっていない。……いったんイランが核兵器を持てば、無責任に冒険主義と不合理性に走らないとは断定できない。そのような国が国際紛争や国内の政治変動の窮地に立たされれば、非通常兵器を使ってアメリカやイギリス、フランスを脅すことも考えられないことではない。もしそうなれば、国際テロの性質は大きく変わり、個人や建物が狙われたり破壊されるのではなく、都市全体が人質に取られることになる」
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