海外発には2通りあって、1つは地政学的な事件からの世界金融危機である。それともう1つは、トランプ大統領による内政事件、アメリカ発の米国債暴落、ドル暴落からの世界金融危機である。
一方、日本国内発で、日本政府財政破綻が起こるシナリオは、日本の財政破綻シナリオがあまりに現実的になりすぎ、リスクも高まりすぎて、広く認識されたことによって、むしろ警戒感から、なんとしても起こさないという政策担当者側、政権側の意識が、日本としてはかつてないほどに高まっており(いや1998年の金融危機には及ばないか)、可能性は足元では低い。もちろん、それでも、何らかの政治的流れから消費税減税などが実現すれば、このリスクシナリオも実現する。
海外発の危機に備え「プライマリーバランス回復」を
ただ、海外発の危機のほうが、実はより日本にとってはダメージが大きくなる。なぜなら、逃げ道がなく、また、財政破綻した後に、心を入れ替えて、日本の経済、財政を立て直そうとしても、世界的な不況と金融危機であれば、外部の経済に頼って、経済成長を回復し、財政収入を回復する、というシナリオが実現しないからだ。だから、この場合の財政破綻からは、すべて、名実ともに、自力で回復しなければならない。そして、それは相当難しいだろう。
ならば、このリスクシナリオにどう備えておくか。かなり皮肉なことであるが、海外発の危機に対応するためには、自国内部の自滅的な危機を防止する以上に、財政破綻しにくいようにしておく必要があり、財政破綻後、歳出を賄えるように財政を立て直すときの、立て直し幅を最小限にしておく必要がある。
つまり、プライマリーバランス(国債の利払いを除く政策的経費を税収などで賄えている状態)の回復幅(黒字幅)は、海外発のリスクに備えるために、自ら財政破綻を防止するために必要な黒字幅よりも、むしろ大きくなるのである。
現在、前回も紹介した東京財団のプロジェクトをはじめ、財政破綻危機の警鐘を鳴らしている多くの論者は、日本国自らの財政悪化による財政破綻を想定している。
だが、繰り返すが、実際には、プライマリーバランスの回復は海外発のリスクに備えるためにこそ極めて重要なのであり、彼らが想定している以上に大幅な黒字化が必要なのであり、緊急の使命なのである(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末の競馬を予想するコーナーです)。
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