日本の財政破綻はどのように起こるのか、そのとき日本はどうなるか?危機を回避するためにはどうすべきか?

✎ 1〜 ✎ 272 ✎ 273 ✎ 274 ✎ 275
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「3つのトランプリスク」とは何か

このトランプリスクは3つに分けられる。第1に、関税政策をはじめとする経済政策により、世界が不況に陥るシナリオだ。これは着実に起きるだろうし、すでに始まっている。

いまのところ、株価は、2月から4月の衝撃が大きすぎて、最悪から解放された安堵感から上昇しているが、実体経済の現実に直面するのはこれからだ。不況が来るのは間違いない。

しかし、この不況は、確実だが、静かに広まり、現実から将来予想へ織り込まれていくので(願望から少しずつ覚めていくので)、世界の債券市場に与えるショックは小さいかもしれない。

危機を起こすショックは、実際の影響のトータルでの大きさよりも、スピード感、恐怖感によるものであるから、不況による影響は、危機から破綻になったとき、そこから回復する力が弱っている、ということに影響する。つまり、破綻後の被害を大きくするという形で表れるだろう。

第2のものは、乱暴な外交政策による、世界的な地政学リスクの高まりである。これも着実に高まっている。「就任後24時間以内にウクライナとロシアの停戦を実現する」というトランプ大統領自身の言葉とは裏腹に、彼によって、ウクライナへのロシアの侵略はさらにこじれ、むしろ長引く見込みとなった。停戦後の姿も見えない。ウクライナの未来は絶望的になってしまったといえるだろう。

ただし、このロシア侵略戦争は長引いてしまったために、ニュースインパクトがもはや何もなく、ロシアが核攻撃でもしない限り、世界的な金融市場破綻を起こすカテゴリーのリスクとはならなくなってしまった。

一方、ロシアの横暴を放置したために、欧州の危機感は高まっている。この余波で、イスラエルの暴走を止めるどころか煽っているアメリカの代わりに、欧州が何らかの抑止力を発揮する可能性もゼロになってしまった。

欧州は「自分たちのことは自分たちで守る」という意識となったため、結果的に、アメリカとは違った意味での欧州内向き主義、自分たちのことで手一杯となってしまった。つまり、アメリカと欧州が、世界の地政学リスクを抑制する役割をまったく果たさなくなってしまったのである。この結果、周辺部でのリスクは高まり、かつ何か勃発したときに、止めるものは何もなくなってしまったのである。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事