ただ、日銀の行動心理として、マーケットの波乱を自分のせいにされることに、昨年8月5日の株価暴落以降、恐怖感すら覚えており、日銀は「絶対にそれは起こさせない」と思っているだろう。
したがって、4000億円ずつ減らすというペースを維持するという見方と、減速度合いを半減させる2000億円にするという見方があるが、有力なのは後者のほうだろうし、その場合は、危機にはなりにくい。
次に、財務省が6月20日に債券市場参加者を集めた国債市場特別参加者会合を開くというニュース(日本経済新聞報道による)。この会合を開くというニュース自体が、相場に大きな影響を与えた。
政権の能力と無関係に、政治がもっとも危険な理由
それは投機家たちの仕掛けにすぎないのだが、ということは、6月20日の会合後も、何らかの動き、あるいは発言をリークさせて、仕掛けてくる可能性はある。
こちらは、投機家のニュースの作り方、解釈の仕方の自由度が高いので、よりリスクは高い。ただし、債券投資家たちは野蛮な株式トレーダーたちと違って、理屈重視なので、あまりに無茶な動きはしないだろう。
なぜなら、投機家の仕掛けは、残り多数の普通の投資家たちが追随してこないと、利益を上げられないため、債券市場で仕掛けるときは、多くの人が恐怖を抱く可能性のあるシナリオが、ある程度の説得力を持って成立していないといけないからだ。今回は、まだその時機は熟していないとみるのが普通だろう。
日銀、財務省がへまをしないのは、彼らの能力からして当然かもしれないが、一方、政治は、政権の能力とは無関係に、外野が事件を起こす可能性があるので、もっとも危険だ。
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