古材生かしたリノベのコーヒー店や麻婆豆腐食堂…「上諏訪」に移住・開店ラッシュなぜ? 《立役者は"リビセン"》長野県諏訪市
書店「言事堂(ことことどう)は、妻の華南子(かなこ)さんがSNSで「本屋さん向けのいい物件があるんだけどなあ」と書いたら、興味を持った現店主が連絡をくれて、なんと沖縄から移住してくることに。

基本的に、リビセンでは空き家を積極的に探すことはしていないものの、エリア内でレスキュー依頼があれば、貸す・売るなどしてなにか活用できないか見極め、家主に提案することもあるとか。長年地域のレスキューを行ってきたからこそできる活動です。
そうした物件ありきのケースもあれば、花屋を開きたい女性がリビセンに相談、「太養パン店」の前に空き店舗があったことから「パン屋さんの向かいに花屋さんがあったら最高なのでは?」と考えた東野さんが大家さんに交渉。レコードショップ併設の花屋「olde(オルデ)」が誕生したという、事業者ありきのパターンもあるそうです。

「こうした取り組みを行っているのは、リビセンにとって設計・施工の仕事に結びつくから。そして地域にいいお店が増えてくると、自分たちの1日が楽しくなるから」と東野さん。上諏訪駅徒歩圏内にお店が集まっていることも、観光客にはうれしいポイントです。
「まず、リビセンは駅から歩ける距離につくりたかった。その後、リビセンが手がけて開業したお店はみんなご近所だから、電車で来た観光の人もまちをめぐりやすいんですよね。とはいえ、観光客向けのお店しかないまちって僕は好きじゃない。まずは地元の人、自分たちが楽しいと思える場所に。そうすれば、外の人たちも自由に楽しんでくれるはずなんです」
これまでリビセンが上諏訪エリアでリノベーションに関わった店は10件ほどで、ほとんどがリビセンから徒歩3分圏内という近さです。店主たちは後述の「太養パン店」をのぞいて全員が移住者なのだとか。
実は筆者は5年ほど前、開業したてのお店4件を取材したことがあるのですが、4件とも今も元気にお店を営み続けています。店舗の入れ替わりが激しいご時世において、このまちにしっかり根を張り、まちの人たちの日常に欠かせない場所になっていることに、うれしさが込み上げました。
まちづくり会社「すわリノ」が始動
2022年には、新たな展開も。リビセンと諏訪信用金庫、地元の不動産会社サンケイの3社で、まちづくり会社「すわエリアリノベーション社」、通称すわリノを設立。エリアリノベーションによって、諏訪エリアの価値を再発見・リブランディングし、まち全体の活性化につなげていくのが狙いです。
