古材生かしたリノベのコーヒー店や麻婆豆腐食堂…「上諏訪」に移住・開店ラッシュなぜ? 《立役者は"リビセン"》長野県諏訪市

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「先ほど話したように、諏訪のためにというよりは、ただ自分たちが楽しく豊かに暮らしたいという思いで、これまでいろいろなお店のリノベーションに取り組んできました。そんななか、個人的に気になっていた築90年ほどの四軒長屋があって。

でも四軒の所有者がバラバラでは扱いにくいし、建物が大きいからリノベーションが大規模になって、数千万円かかるようでは個人の事業者にはつなぎにくい。あるとき、たまたま諏訪信用金庫の支店長さんがリビセンに声をかけてくれて、その物件をまとめて購入し管理していた不動産会社ともつながることができた。

そんな縁から、これまでの空き家一軒ずつのリノベーションではなく、もう少し広い視野でまちづくりに取り組めるよう、3社で会社を設立。この長屋はすわリノで借り上げ、テナントに入ってもらって活用することにしました」

建物の面影が残るのは、地元の人にとってもうれしい

そうして、すわリノの第一弾プロジェクトとして「PORTALLEY(ポータリー)」がオープン。諏訪は昔、船が行き来する運河だったところを埋め立てて細い道を作ったことから、港(port)と小道(alley)を掛け合わせた名前に。1階には、麻婆豆腐の店や古着と菜食ごはんの店など4店舗が入居。2階には事務所やレンタルスペースが連ねています。

このあたりは歩道が狭く、近所の人たちがふらっと集まれるような場所がなかったため、ウッドデッキの中庭的な空間を公園のように開放しています。ベンチやドッグポールもあり、犬の散歩がてらおしゃべりしていく人も。

昨年はここで野外上映会も行ったそう。「以前は上諏訪にも映画館があったけれど、今新たに作ることは難しいから、ここで定期的に映画鑑賞会もしていけたら」と東野さん。文化的にもとても豊かになりそうですね。

上映会の様子
上映会の様子(写真提供/ReBuilding Center JAPAN)
灯台のオブジェ
灯台のオブジェは御柱(おんばしら)で作ったもの。写真の左側では拡張工事が進んでいる(写真撮影/窪田真一)

そしてこちら、港の灯台をイメージして作ったというオブジェは、なんとレスキューした御柱(おんばしら)というパワーワード!

諏訪といえば、7年に1度の御柱祭が行われる諏訪大社のお膝元ですが、諏訪系の神社のほか小さな道祖神でも御柱祭は行われていて、新たな御柱が建つと7年前の御柱を置くスペースがないとのことで、公民館からレスキュー依頼があったそうです。なんだか、神様に見守られているようなありがたさを感じます。

さらに、すぐ隣の空き家だった建物も、6月の完成をめざしてリノベーション工事の真っ最中。「建物の所有者が、お隣の四軒長屋はきっと解体されてしまうと思っていたから、こんなふうに活用されていることを喜んでくれて。『地域のために活用してくれるなら』と、すわリノに連絡をくれたのです」

完成イメージ
完成イメージ(写真提供/ReBuilding Center JAPAN)
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