古材生かしたリノベのコーヒー店や麻婆豆腐食堂…「上諏訪」に移住・開店ラッシュなぜ? 《立役者は"リビセン"》長野県諏訪市
めざしたのは、朝7時からオープンする店ゆえ、店内は明るく。とはいえ真っ白の空間では目が疲れてしまいそうなので、ほんのり墨が入ったような色合いの壁に。「今では焙煎などの煙で経年変化して、店名どおりアンバー(琥珀)のようになりました」。古材でつくったカウンターも、やわらかさとぬくもりが感じられます。



実は、すわリノが手がけたPORTALLEYは、AMBIRDの建物のすぐ裏手。そんな立地関係から、PORTALLEYの一区画を焙煎所として借りられることに。「これまでは1kgの焙煎機を店に置いていたのですが、図らずも焙煎所が作れることになって、店内が広く使えるようになりました。建物に境目がなくドアでつながっているので、直接行き来できて便利です」。
拡張したPORTALLEYが完成すれば、ここが上諏訪のシンボル的な場所になるはず、と期待を寄せます。
黒鳥さんが上諏訪に移住して7年目。住み心地はどうでしょうか。
「衣食住の店はなんでもそろっているし、今どきはオンラインでも物は買えるし、不便はなにもないですね。音楽やアートなどのイベント系はやっぱり都市での開催が多いから、気軽に足を運べないというのはありますが。
住んでみて、人との距離感がちょうどいいなと感じています。移住者も増えていて、お店もうちがオープンした2019年以降、ここ5年で30件くらいできている。実は、その半分くらいはリビセン以外が手がけているんですよ。リビセンがすべてやっているというわけではなく、バランスよくいろんなお店ができているというのが、またおもしろいんだと思います」
リビセンのまかないから生まれた麻婆豆腐の店が誕生
次にお話をうかがったのは、話題のPORTALLEY1階に「麻婆食堂どんどん」を開いた千葉夏生(なつみ)さん。

千葉さんは実はもとリビセンのスタッフ。岩手県出身で、以前は10年以上古着の仕事をしていましたが、「古着においてリサイクルやリユースの世界はもう成熟していて、自分じゃなくてもできる。そう感じていたときにリビセンの存在を知り、一般の人に向けて間口を広げているのが新しいと思って、飛び込みました」
リビセンではお店づくりや古材レスキューの仕事をメインにしつつ、多いときは15人ほどいるサポーターズ(リビセンに興味がある人が、通常のリビセンの仕事を一緒にしてみるボランティア)とスタッフに提供する、1日2食のまかないを担当。
そこで出した麻婆豆腐が評判だったことから、イベント出店などを経て味を磨き、PORTALLEYができたタイミングで専門店を開くことに。