古材生かしたリノベのコーヒー店や麻婆豆腐食堂…「上諏訪」に移住・開店ラッシュなぜ? 《立役者は"リビセン"》長野県諏訪市
「以前は岩手に戻ってリビセンみたいなお店をやりたいと思っていたけれど、リビセンに7年いて、やりきった感があって。諏訪での暮らしが気に入っていたこともあり、独立して開業することにしたのです」



メニューは麻婆豆腐のみで、豚肉で作るベーシックな麻婆豆腐と、食べごたえある鹿肉のミンチを使ったジビエ、凍らせた木綿豆腐を挽き肉に見立てたヴィーガンの3種類。麻婆豆腐限定だからこそ、どんな人でも同じ食卓を囲んで食べられるメニューを作りたかった、と千葉さんは言います。
麻婆豆腐には麹からつくる自家製の甘酒を調味料として使っているそうで、コクのある甘味と旨味のバランスが秀逸! すっかり胃袋を掴まれてしまい、ご近所に住む方が心底うらやましくなりました。

移住してきた7年前と比べて、上諏訪に個人店が増えていて楽しい、と千葉さん。
「上諏訪駅から歩けるエリアに、飲食店だけでなく古本屋や花屋さんなどもできて、選択肢が増えた。かと思えば80歳のおばあちゃんが一人でやっている昔からのお店も健在で、そのミックス感が魅力だと思います。リビセンからまちが楽しくなっていく勢いみたいなものが、最近では成熟のフェーズに入ったような気がしています」
創業100年超の老舗パン店が現代風に
最後は、リビセンのすぐご近所にある「太養(たいよう)パン店」へ。店に入ると、大きな造作ショーケースに並ぶたくさんのパンが迎えてくれます。シンプルでモダンな内装と対面式の販売スタイルが、一見新しいお店のように感じますが、創業はなんと1916年。来年110周年を迎える老舗のパン屋さんです。

3代目オーナーシェフの奥村透(おくむら・とおる)さん(写真右から2番目)によると、2020年、コロナ禍で店を休業するタイミングで、リビセンにリノベーションを依頼。
古材を生かしたショーケースを造作してもらい、セルフ式から対面式にチェンジしました。奥の壁にあしらった古材は、上部は麦の穂、下部はパン生地をこねる職人の手をモチーフにしたもの。床には、もともと奥村家にあっていつか何かに使いたいと思っていたイタリア製タイルを用い、かつて縁側にあった木材を目地に。