「夏のボーナス」が前年より増えた年の"ジンクス" 過去の日経平均株価を調べてわかった実態

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例えば、2013年以降で集計した場合に、12カ月中で最も騰落率平均が高い(1位)月は11月で4.2%でした。一方、6月、7月と12月の騰落率平均は12カ月中、それぞれ、7番目、6番目と10番目と下位です。東証再開来で集計しても、6月、7月と12月の騰落率平均の順位は高くありません。

つまり「ボーナス月は株高になりやすい」は間違ってはいませんが、ジンクスと言えるほど強い傾向とは言えません。

では、夏のボーナスと株価を結びつけるより具体的なジンクスは何でしょうか。それは「夏のボーナスが前年より増えると7月の株価が上がりやすい」というものです。ボーナスは7月にかけて支給され、投資に回るまでタイムラグがあるため、株価との関係は6月より7月に強いようです。

夏のボーナスが増えた年の株価は?

実際の検証結果を紹介しましょう。下図では、夏のボーナス平均額が前年よりいくら増えたか(青線)と、7月の日経平均株価の騰落率(赤棒)を比較しています。たとえば2022年は企業業績が好調だった影響でボーナスが4万6000円増え、その年の7月に日経平均は5.3%上昇しました。

ちなみに、グラフが完全に連動していない年もあります。2016年はボーナスが前年に比べてそれほど増えなかったにもかかわらず7月は月間で6.4%株価が上昇しました。当時を振り返ると、7月に実施された参議院選挙で自民・公明の与党が圧勝して、アベノミクスの継続期待が株価を押し上げました。こうした特殊要因により株価のジンクスが崩れる年もあるようです。

今年は7月に参院選を控えており、同様の不透明要因が存在します。自民・公明の両党が過半数(125議席)を維持できるかが焦点で、過半数割れなら政局不安が嫌気され株価が下落する場面も考えられます。一方、企業業績の好調や賃上げの流れを背景に、夏のボーナスは前年より3万3000円ほど増える見込みです。

こうした追い風を考えると、今年も株高を背景に7月相場への期待は高まりそうです。

吉野 貴晶 マネックス証券チーフ・マーケット・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ 投資工学研究学長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、国内系運用会社で投資工学開発センター長を経て、現職。社会人として歩みを始めて以来、一貫してクオンツ計量分析、データサイエンス、AI(人工知能)を活用した証券市場の分析に携わる。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(青山ビジネススクール)にて客員教授、学術フロンティア・センター特別研究員。経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。博士(システムズ・マネジメント)。日本ファイナンス学会理事、日本金融・証券計量・工学学会(JAFEE)理事。2025年9月より現職。

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