韓国新大統領を待ち構える内憂外患、国内では刑事裁判を抱え外交では日本に対し失言発し不安感も

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他方、今回の大統領選が多分に、尹氏が突如として出した戒厳令に対する審判という要素を含んでいたことや、有権者の8割近くが票を投じたことを考えると、李氏にもかなりの批判があったため、得票率で5割を超えられなかったとみるべきだろう。

また、右派は今回、最後まで候補一本化の道を追求した。実際に一本化に成功してどれだけ得票できたかはわからないものの、単純に有力な右派候補者の2人の得票を足すと、わずかながら李氏を上回った。

当選後もくすぶる「司法リスク」

それにしても今回の大統領選は、過去に例がないほど妙な選挙だった。

韓国社会が政治志向の左右でくっきりと分かれる分極化が深刻であることは有名だが、伝統的な左派支持層の中にも李氏を激しく嫌悪したり、戒厳令を出した保守から政権を取りもどすために仕方なく李氏に投票するという消極的支持を表明したりする人が目立った。

その理由を尋ねると、多くは李氏の徹底した排他性と、多くの刑事事件を抱える被告の身だというダーティーさが引っかかっているようだった。

李氏が抱える内憂のうち、その大きな部分を占めるのが、まさに韓国で「司法リスク」と呼ばれてきた刑事裁判である。

現在、李氏は5件の刑事裁判を抱える。中でも公職選挙法違反事件は、二審の高裁で無罪判決が出たが、最高裁に当たる大法院は大統領選直前に二審判決を破棄して差し戻した。差し戻し審の初公判は2025年6月18日に予定されている。

韓国憲法は、内乱または外患の罪以外、大統領は在任中に刑事訴追を受けないと規定している。だが大統領就任前に起訴された事件に関しては、専門家の間でも意見が分かれている。

そこで李氏を支える与党「共に民主党」が急ぐのが、内乱・外患罪以外でも大統領在任中は裁判を停止するという刑事訴訟法改正だ。法改正により、李氏の大統領任期を保証しようとしている。

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