韓国新大統領を待ち構える内憂外患、国内では刑事裁判を抱え外交では日本に対し失言発し不安感も
「共に民主党」は公選法違反の裁判で無罪判決を破棄した大法院長の弾劾も示唆していた。
だが右派の「国民の力」は、あえて強く阻止する動きを見せなかった。同党関係者はそのわけを「数の力で、意に沿わない声をすべて除去しようとしている横暴さを、有権者に見てもらう方が得策と考えた」と語った。
今回、刑訴法改正案が成立しても、「李氏を守護するための手前勝手」との批判は避けられず、李氏は「司法リスク」という弱みを抱えたまま、国政運営にあたることになりそうだ。
いきなりの外交デビューの負荷
内憂に劣らず、外患も直後に控えている。
まずは左派政権のトップとして、アメリカとの関係をどう構築するか、である。同盟関係を重視しないトランプ大統領と、まともな外交経験がない李氏という、規格外の2人がどんな首脳外交を展開するのかは、李氏周辺の外交安保ブレーンでさえ、「やってみないとわからない」と話す。
海外への輸出が大きな比重を占める韓国にもかかわらず、半年にわたって政治指導者が不在という事態は、同盟国のアメリカでトランプ政権が相互関税を振りかざす中、いっそう深刻さが増していた。
新大統領に李氏が就いた限り、これまでの後れを取りもどす必要がある。当面は目前にせまった2025年6月15日からのカナダでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)が焦点となる。ここでどんな形でも米朝首脳が会話を交わし、スムーズなキックオフとなるかどうか。
また、直後には6月24日から、オランダのハーグで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が控える。
通常なら、新指導者として外交デビューする格好の舞台が連続して用意されているという歓迎すべき外交日程だが、韓国政府内の外交当局者らの認識は少し異なる。
確かに地方自治体の首長を経験し、それなりの実績をあげて党の代表にまでに座った李氏だが、外交経験は皆無に近い。内政関連では多くの知識とアイデアを備えるものの、相手方のある外交の手腕は未知数である。
李氏は日本やアメリカとの協力関係を重視しつつ、尹政権でぎくしゃくした中国やロシアとの外交関係も改善を目指すとして、国益重視の実用外交であたると訴える。
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