海外投資家は追加金融緩和に期待していない 中国の9月輸入は20%減で市場に失望感
このような見方は市場では主流ではないが、過去の明確な傾向は念頭に入れておくべきであろう。筆者は今後しばらく株価が頭打ちになるとみているが、このような見方を後押しする傾向が、米国の雇用情勢からも見て取れる。米国の新規失業保険申請件数と米国株の値動きを比較すると、見事に逆の動きになっている。つまり、雇用情勢の改善とともに申請件数が減少する一方、株価は上昇する傾向がある。しかし、申請件数が大底をつけると、株価もピークをつける傾向が鮮明である。
現在、新規失業保険申請件数は26万件台にまで減少しているが、この水準はITバブル崩壊後につけた最低水準と同じである。当時の株価はその後、大天井を付けて暴落した。現在の雇用情勢の改善傾向がピークアウトすれば、そこで米国株は天井をつけ、大幅な調整を強いられる可能性がある。つまり、株価の本格調整のタイミングが近づいている可能性がある。
なりふり構わぬ株価浮揚策はもはや通用せず
このように、これまで上昇一辺倒だったドルの上値が重くなり、資源国・新興国通貨の反転・上昇の兆しが見え始めている。
ドル安はFRBの利上げ先送り観測が背景にあるものと思われるが、たとえ利上げをしても、材料出尽くしでドルは結局下げるだろう。ドルの下落を望んでいるのは米国自身である。今後は購買力平価や資金フローなどで為替動向の解説を試みても、ロジカルに説明できない状況に陥るだろう。
一方、日本ではこれまでの政府・日銀の政策の正当性と今後の政策をどう判断するか、きわめて難しい局面に立たされている。
市場では「国是・国策に売りなし」という。国家が進める政策に逆らえば痛い目に合うという、投資家を戒める格言である。現在は郵政関連株の放出を前に、政府としても株価を下げるわけにはいかない。政府による財政出動、日銀による追加緩和など、証券業界が期待するのも当然である。
しかし、この格言には「もし、その政策が正しいならば」、という条件がつく。政府・日銀のなりふり構わぬ力技による円安・株高政策は、ここまでは一定の効果を発揮した。しかし、今後も同じ政策が通用する可能性は低い。
それは、日本の証券市場の最大の担い手である外国人投資家が、日本株を大量に売却した理由を考えれば容易に理解できる。海外勢の「新3本の矢」への関心はきわめて低く、むしろ2017 年 4 月の消費税増税による景気腰折れ懸念への関心が高いという。
日銀の追加金融緩和への期待も高くない。さらに、これまでの異次元金融緩和による大幅な円安が内需の持続的回復をもたらしていないと評価しており、追加緩和は重要な材料ではないと判断している。政府・日銀、市場関係者はこれらの見方をどのように考えるのか。いまこそ「虚心坦懐」に市場環境を分析する必要があるだろう。
今後1週間の日経平均株価の予想レンジは、1万7500円~1万8250円としたい。
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