間取り自体は40.75㎡の2DKでバス、トイレ、キッチンは既存のままとよくある部屋だが、内部は「どこかおかしい」。人が部屋を選ぶのではなく、部屋が人を選ぶのかもしれない。
過去の住民にはモノ作りに関わる人が少なからずおり、住宅ではなく、事務所づかいする人も。率直なところ、暑くて寒い部屋なので住むためにはそれなりの覚悟もいる。状況を面白がれる人でないと、住むのは難しいかもしれない。

床から壁まで徹底的にDIYできる南棟
アーティストの手掛けた北棟の向かい、南棟はDIYが可能な部屋となっており、こちらは「世の中一般の部屋と比べても決まりやすい」と仲介を担当する株式会社アートアンドクラフトの山田輝さん。
最初の募集時以降、建築系の仕事をしている人の入居が多いそうだが、とはいえ、部屋のど真ん中に格子状の壁(!)が建てられている部屋もあり、普通の人に使いやすいかどうかはよく分からない。

今回、1階に2部屋を借りているインテリアスタイリスト・イシバシショウコさんの部屋を見せていただいた。聞けば、床から壁まで徹底的に好きに手を入れられる物件はほとんどなく、それができるからここに決めたのだとか。

押入れの撤去に始まり、タイル、フローリングと部屋ごとに異なる床を貼り、壁を雰囲気、素材の異なる材で仕上げるところまでを半年ほどかけて作業しており、その出来栄えはお見事の一言。

大工だった祖父の影響から小学生の頃から鋸(のこぎり)を使っていたというイシバシさんのような人にとって、空き家はおいしい素材なのだろう。
後編もあります。続きはこちら↓
時間のパッチワーク「継ぎはぎの廃墟」の引力。地域全体が不思議空間、否応なく見せつけられる「廃墟×アート」の可能性《大阪・北加賀屋》
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