2004年に最初のイベントを開催。そこで文化、芸術の持つ力を体感し、以降、空き家、空き地を原状回復不要で比較的安い賃料でアーティストに賃貸するという活動を続けています」と千島土地広報担当の宇野好美さん。
「退去時に元に戻さなくていい、しかも安価で借りられる」とあって現在北加賀屋にはアトリエやギャラリー、複数の店舗などが入る複合施設などが大小合わせて50拠点ほど生まれている。


街中には予備知識なく出くわしたら悲鳴を上げてしまいそうなリアルな彫刻や、笑いを誘う多数のウォールペインティングなどが点在するまでになっている。
壁紙が紙やすり?常識では理解不能な部屋
そのうちでも常識を超える面白さがある物件のひとつが2016年に昭和46年築(2025年時点で築54年)の元社員寮をリノベーションした「APartMENT」だ。

もともとは南と北に1棟ずつ、各12戸という物件で、そのうち、北棟の2階、3階の8室が8人のアーティスト、クリエイターの手で改装された。改装時からでもすでに10年近く経っているのだが、今見てもどの部屋も「おかしい」。

203号室は現代美術のアーティストである松延総司さんによる「やすりの部屋」で、見た目はよくあるアクセントクロスのような壁紙が実は紙やすり。そのため壁に触ると肌や衣類が「やすられる」(松延さんによる造語)。
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