松井・JCB連合の参入で大手5社の総力戦に、赤字でもやめられない「クレカ積立」地獄の消耗戦
一方のカード会社も、基本的に赤字の構造だ。
証券会社から一定の加盟店手数料は入るが、それらの大半がポイント付与の原資として消える。協業体制にもよるが、自社の顧客を証券会社に送客することで仲介手数料を得たとしても、国際ブランドへのライセンスフィーなどの支払いを考慮すると、実質的には赤字に近い。
そのためクレカ積み立ては、「楽天証券と楽天カード」や「auカブコム証券(現・三菱UFJ eスマート証券)とau Pay カード」など、グループ経済圏を拡大させることを起点とした取り組みが中心。例えば三菱UFJ eスマート証券は今でこそ三菱UFJフィナンシャル・グループに属しているが、かつてはKDDI傘下であり、ケータイ料金プランとの連動によって最大2%の還元を実現するなど、au経済圏全体で収益性を確保する構造を築いていた。
SBI・三井住友カード連合も途中で路線変更
そんなクレカ積み立てに風穴を開けたのが、2021年6月から協業を開始したSBI証券と三井住友カードだ。
SBI証券ではそれ以前もタカシマヤカードなど一部カード会社と連携して「クレカ積立」を行っていたが、約2000万人のカード会員基盤を持つ三井住友カードと提携。短期的な収益を度外視し、高い還元率を武器に会員基盤の拡大を優先する施策を展開した。
その結果、SBI証券では三井住友カードによる積み立てが可能な仲介口座数が100万を突破。2025年2月時点で積立投資額も月間850億円超、累計積立額1兆円に達するほどの勢いとなっている。
ただ、それほどの規模を獲得しても、「クレカ積立」単体で収益化することは難しかったようだ。
SBI証券と三井住友カードは、従来は「クレカ積立」以外の利用条件は設けずに最大3%のポイントを付与していたが、2024年10月からは「クレカ積立」以外の利用額に応じたポイント設計に変更。単体では採算が合わない構造であることが浮き彫りとなった。
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